2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ナノ構造におけるスピン依存伝導とスピン制御
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17686001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (00282012)
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Keywords | 強磁性半導体 / 半導体量子ナノ構造 / スピントロニクス / スピントランジスタ / 顕微分光 / スピン注入 |
Research Abstract |
本研究では、磁性/非磁性半導体からなる量子ナノ構造デバイスの設計と作製を行い、電子、核、および磁性不純物原子のスピン状態を電気的または光学的に制御し、それらの相互作用の制御及びその結果もたらされる光・電子・磁気スピン物性を調べ、スピントロニクスデバイスの基盤技術を確立することを目的とする。本年度は、半導体量子ナノ構造における効率的なスピン注入の実現とその伝導特性を明らかにすること、また、局在するスピン(核・磁性原子)の操作とその検出を可能にするデバイスの設計・試作を行うことを目標に研究を実施した。本年度の研究実績は以下の通りである。 ・3次元量子ナノ構造における電子・核スピンダイナミクスを検出するための、空間分解能<1μmの磁場中顕微分光システムの立ち上げた。本システムを使用し、レーザースポット径1.5μm程度の領域におけるGaAs/AlGaAs単一量子井戸中の動的核スピン分極を時間分解カー回転測定法により検出してみせることに成功した。また、強励起光密度を利用した全光核磁気共鳴測定を行い、発生する振動電磁界の定量的評価を行った。 ・バルク半導体や高移動度2次元電子系におけるスピン注入・スピン輸送を調べるため、ノンアロイ電極を形成可能なn^+-GaAs/n-GaAs構造や変調ドープAlGaAs/GaAsヘテロ構造を分子線エピタキシにより成膜し、スピンダイナミクスの光学的検出のためのデバイスを作製した。 ・昨年度実証した半導体量子構造における核スピンコヒーレンスの光検出を発展させ、反射(カー効果)測定の系を透過(ファラデー効果)測定系に改良することによりさまざまな配置条件において測定可能にし、核スピンコヒーレンスの磁場入射角度依存性を明らかにした。
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