2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ナノ構造におけるスピン依存伝導とスピン制御
Project/Area Number |
17686001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 裕三 Tohoku University, 電気通信研究所, 准教授 (00282012)
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Keywords | 強磁性半導体 / 半導体量子ナノ構造 / スピントロニクス / スピントランジスタ / 顕微分光 / スピン注入 |
Research Abstract |
本研究課題では、磁性/非磁性半導体からなる量子ナノ構造デバイスの設計と作製を行い、電子、核、および磁性不純物原子のスピン状態を電気的または光学的に制御し、それらの相互作用の制御及びその結果もたらされる光・電子・磁気スピン物性を調べ、スピントロニクスデバイスの基盤技術を確立することを目的として研究を行った。最終年度である本年度の成果は以下の通りである。 ・InPと格子整合した(In,Ga)As共鳴トンネルダイオードをベースに、ALD法により作成した高品質Al_2O_3絶縁膜からなるMISゲート構造と中空配線構造を有する量子ドットを作製し、狭ギャップ半導体人工原子の電子状態の実証に成功した。また、その有効g値の大きさを評価した。 ・バルク半導体への高スピン偏極電流注入を実現するため、n^+-GaAs/n-GaAs構造上にスパッタ法によりCoFeB/MgO強磁性金属トンネル接合構造を形成し、接合抵抗の低抵抗化を確認した。 ・空間分解能1.5μm、検出感度<1μradの磁場中顕微カー測定システムを用い、n-GaAsにおけるスピンホール効果のドーピング濃度(N_D)依存性および外部磁場依存性を調べ、その基本的な物性を考察した。N_D=3×10^<16>〜5×10^<17>CM^<-3>のn-GaAsについて、チャネル端のスピン蓄積を顕微カー回転測定により測定した結果、その大きさはN_Dに対し単調に変化せず、1×10^<17>CM^<-3>で極大を示すことがわかった。また、スピン緩和時間やスピン拡散長を実験から求め、スピンホール伝導率σ_<SH>のN_D依存性を調べたところ、σ_<SH>はN_Dとともに増大する関係を得た。 ・位相制御されたrfパルス磁界を印加可能な磁気共鳴測定システムを構築した。これにより、半導体量子井戸構造中の核スピン状態の位相制御とその光検出を実証した。
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