2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規強磁性半導体(Zn,Cr)Teを用いたスピン依存伝導素子の研究
Project/Area Number |
17686005
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 秀和 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究員 (50357068)
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Keywords | 強磁性半導体 / スピン依存伝導 / トンネル磁気抵抗効果 / エピタキシャル成長 / 化合物半導体 |
Research Abstract |
電子の電荷とスピン両方の性質を同時に取り入れて、噺機能素子の実現を図るスピントロニクス技術が大きく注目されている。強磁性を示す半導体物質はスピントロニクス分野のキーマテリアルであると目されている。本研究は、研究代表者が初めて合成に成功した強磁性半導体新材料である(Zn,Cr)Teを用いたスピン依存伝導素子を作製し、その動作を実証することを目的とする。具体的には、トンネル磁気抵抗素子およびその半導体的(絶縁体的)な性質を利用したスピンフィルター磁気抵抗素子の実現に挑戦する。 本年度は1)新障壁層材料の開発、2)ZnTe絶縁層を有するトンネル磁気抵抗素子の作製と伝導特性に関する研究を行った。1)の研究は、(Zn,Cr)Teをトンネル磁気抵抗素子の強磁性電極として用いる場合、その比較的大きなバンドギャップ(2.4eV)のため従来の半導体障壁層材料を用いることが困難であることから必要である。種々のワイドギャップ系半導体障壁層を有するトンネル素子を作製して伝導過程の詳細を調べたところ、ZnTeと同じII-VI族半導体であるセレン化亜鉛(ZnSe)が高品位の障壁層材料として有望であることが明らかになった。2)の研究は(Zn,Cr)Teを強磁性障壁層として利用するスピンフィルター素子開発のための基礎研究である。電極には一般の強磁性金属であるFeや代表的な強磁性半導体物質である(Ga,Mn)Asを用いた。その結果、何れの強磁性電極においてもZnTeは良好な障壁層と成り得ることを、トンネル分光実験より実証した。このことは、スピンフィルター素子へ向けた重要な成果である。以上の結果は、学術論文として現在投稿中である。
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