2006 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導検出器アレイを用いた超高感度テラヘルツイメージングシステムの開発
Project/Area Number |
17686010
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
有吉 誠一郎 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツイメージング研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20391849)
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Keywords | 電波天文学 / 超伝導デバイス / テラヘルツ光技術 |
Research Abstract |
将来の天文応用や産業応用を目的として、超伝導トンネル接合素子(STJ)を用いた超高感度テラヘルツ光検出器とイメージングアレイ化に向けた研究開発を行っている。 本年度は、36画素の0.65THz帯イメージングアレイを開発し、複数素子の電気特性と光学特性を評価した。具体的にはまず、画素不良を極力減らすことを目的として、合計50画素に及ぶSTJ検出器の電流電圧特性を測定した結果、STJ検出器の作製歩留まりは90%、STJ素子単体では99%という高い作製歩留まりを達成した。次に、光学特性の均一性を評価するために、フーリエ変換分光器を用いて、STJ検出器5画素を一次元に並べたアレイ(リニアアレイ)の周波数感度特性を測定した。その結果、有感周波数帯は5画素全て0.65THzで検出し、その個体差は1%の周波数範囲内で同じであることを確認した。上記と同時並行して、多系統信号を同時に読み出す回路系を最適化することで、STJ検出器リニアアレイを用いたテラヘルツイメージングに成功した。 天文応用では、理研と国立天文台との共同のもと、STJ検出器アレイを南米チリの天体望遠鏡に搭載し天文観測に向けた準備を進めている。一方、産業応用に向けて、従来の冷媒(液体ヘリウム)を用いた0.3K冷却系ではなく、機械式4K冷凍機ベースの簡便な0.3K冷凍機システムを開発・構築した。この冷凍機システムでは、コンパクトかっ軽量でありながら、0.1μm_rms(@0.3K-stage)という地盤振動レベル以下にまで除振対策を施し、さらに長時間運用(101時間@0.3K)かっ全自動オペレーション可能という従来にない優れたパフォーマンスを実現しており、これまで超伝導検出器の普及という点で障害であった「極低温」への困難さが急速になくなりつつある。
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