2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘキサゴナルBDD量子回路方式に基づく超小型・超低消費電力ナノプロセッサ
Project/Area Number |
17686028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
葛西 誠也 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (30312383)
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Keywords | 量子ナノデバイス / 集積回路 / 二分決定グラフ(BDD) / 低消費電力 / プロセッサ / 化合物半導体 / 単電子 / ナノワイヤネットワーク |
Research Abstract |
本研究は、次世代高度ユビキタスITにおいて必要不可欠である高機能微小チップの中核をなすプロセッサを「超低消費電力ナノプロセッサ(NPU)」と位置づけ、申請者らが提案したヘキサゴナルBDD量子回路をベースにそのプロトタイプを実現すること、および、性能優位性を明らかにすることを目的としている。本年度は、(1)ナノプロセッサに必要な能動・順序回路を実現するために、ナノショットキーゲート制御GaAsヘキサゴナルナノワイヤネットワークを用いて実装する研究に着手した。まず、インバータ回路において室温にて伝達利得10以上が得られることを確認した。次に、SR型フリップフロップ(FF)、D型FFの設計・試作を行った。SR型FFは室温下2kHzクロックにて正しく動作し、プロセス精度向上により出力振幅100mV以上を達成した。また、D型FFの動作確認にも成功した。さらに、クロック発生器としてリング発振器の設計・試作を行い、インバータ7段の回路にて100kHzの発振に成功した。(2)演算コアを担うBDD回路の低消費電力化追求のため、GaAsナノワイヤ制御量子細線デバイスのスイッチング電圧、動作温度と素子サイズとの相関について詳細に調査した。ナノワイヤ幅を300nm以下に微細化することで25K以上でも安定して量子化コンダクタンスを観測できること、および、スイッチング電圧を低減可能であることを実験的に見出した。(3)BDDの高機能版として多値型決定グラフ(MDD)を検討した。その要素デバイスを、ナノワイヤ接合構造を利用し実装する方法を発明提案し理論的に動作実証した。(4)順序回路の高速化やナノワイヤネットワーク構造の高機能化のために、上記ナノ細線を組み合わせたゲート制御型3分岐接合デバイスを検討した。室温にて古典的には得られない非線形入出力特性を観測すると共に、伝達特性のゲート制御を実験的に確認した。
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