2005 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解能縦カー効果顕微鏡の作製とそれによるμmオーダーの磁区像一括観察
Project/Area Number |
17686034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 伸 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50344700)
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Keywords | 磁区観察 / 光学顕微鏡 / 偏光 / 縦Kerr効果 |
Research Abstract |
数10μm〜サブμmにパターン化された磁性材料では試料内各場所での磁気特性がその性能を左右することから、パターン試料内部の磁区構造観察に対する需要が高まっている。そこで本課題ではこれまでに確立した白色光の高倍率磁区構造観察技術を発展・応用し、ピコ秒オーダーの磁化過程を一括して観察できる高倍率高時間分解能縦カー効果顕微鏡を実現することにある。初年度に当たる平成17年度はレーザ光を光源として用い、干渉性の回避技術および磁化方向の特定法を確立して、磁区観察顕微鏡を作製することを目標として研究を行った。 レーザ光源を照明光学系に用いて明瞭な磁区像を得るためには、画像のチラツキおよび、干渉縞(時間・空間的コヒーレンシー)への対策が課題となる。検討の結果、秒〜数十秒程度の間隔で画像がちらつく現象はモードホップに起因しており、LDの温度・駆動電流を制御して発振状態を長時間安定化させることが必要であることがわかった。 磁化方向の特定のためには、対物レンズ入射瞳の直交方向の辺縁部に微小スポットの入射光を落斜させることが有効である。落斜位置を実際に変化させて磁区観察したところ、これまで灰色同色にしか観測できなかった直交方向の磁区に対して、コントラストを付すことができることを確認した。 本磁区一括観察顕微鏡の先駆性を活かし、低温下での磁性薄膜の材料評価に取り組むため、クライオスタットを導入した。クライオスタットの窓(1mm)での裏面反射、強磁界印加時のファラデー回転を克服しつつ、反強磁性/軟磁性の積層膜の磁化反転機構の解明に取り組んでいる。 これまでの研究の成果の一部は、第29回日本応用磁気学会学術講演会(信州大学工学部,2005年9月22日)にて発表した。また、日本応用磁気学会より、2005年新技術・新製品賞(2005,9,20)を授与されている。
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