Research Abstract |
1.はじめに 重要度の高い土木構造物は,兵庫県南部地震クラスの地震が作用した直後でも,供用可能であることが要求される.このような耐震設計を実現する一つの方策が高強度構成材料を使用したRC耐震部材の開発であり,兵庫県南部地震クラスの地震に対しても弾性応答させることをその目標性能とする.しかし,高強度コンクリートを用いても,常時荷重による軸圧縮力が小さい橋脚などの柱では,地震時の水平力に対して,断面の大部分が引張域となってしまい,コンクリートの高強度化を全く活かすことができない.そこで,高強度コンクリートの有効利用を図るため,高強度構成材料を用いたRC柱部材にプレストレスを与え(以下,高強度PRC柱),地震時保有水平耐力の向上を試みた. 2.実験概要および実験結果 供試体は,直径400mm,長さ4000mmの中空構造(肉厚約80mm)が基本であり,断面中心付近にPC鋼棒を配置する.実験因子は,コンクリート圧縮強度σ^'_c,プレストレスf_<pe>,軸方向鉄筋ρ_g,らせん筋ρ_w,および中詰めコンクリートの充填の有無である.高強度なコンクリートを大きなプレストレス作用下で使用することで,曲げ耐力をさらに向上させることが可能になる結果となった. 3.今後の展開 高強度PRC柱を開発し,曲げ載荷実験から各実験因子がその力学的特性に与える影響を考察した.また,実験で得られたモーメント-曲率関係を再現できる曲げ耐力算定法を提示し,それに基づき,本構造をさらに高耐力化するための基礎検討を行った.今後,検討結果を反映した柱を製作し,追加実験を行うとともに,本構造の耐震部材への適用により,地震動評価に関わる圧倒的な不確定性の存在下でも,地震時破壊リスクを劇的に低減可能であることを証明する.
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