2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市水循環が水中病原微生物の発生動向に与える影響の解明
Project/Area Number |
17686045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00302779)
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Keywords | ウイルス / 水道 / 感染経路 / 病原微生物 / 生野菜 / 挙動予測 / 公衆衛生 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
今年度は、来年度以降の環境調査型研究の準備期間と位置づけ、環境中の病原微生物の測定法に関する研究を行った。 水中ウイルス測定については、すでに濃縮法等について開発しているものの、その適用範囲については不明なところがあった。これまでも水質によるウイルス回収率への影響については調べてきたが、ウイルスの種類による回収率の違いについてはあまり検討してこなかった。今年は、ヒト腸管系ウイルス以外にもウイルス濃縮法が適用できるかどうか、コイヘルペスウイルスを対象として濃縮回収率を評価した。コイヘルペスウイルスはリアルタイムPCRにより定量し、陰電荷膜を用いた方法の内、陽イオンの添加方法を3通り検討し、さらに陽電荷膜法についてもウイルス濃縮法の評価対象とした。結果的には、陰電荷膜を用いた方法は陽電荷膜よりは回収率が高いものの、回収率は1%未満であり、あまり効率よくウイルス濃縮がされていないことが判明した。なお、以前の調査で多摩川の水の試料をウイルス濃縮したものに対してコイヘルペスウイルスの検出を試み、一部の試料からウイルスを検出した。 そのほかに、河川・沿岸海域の底泥に存在するウイルスおよび大腸菌等の調査方法について、東京湾を対象に測定方法を検討した。また、生野菜やドアノブ、食器等からの微生物測定法についても、野外における調査方法を検討し、ガラスウールを用いる方法を開発した。生野菜からは90%程度の回収率でウイルスを回収できるが、食器からは50%程度の回収率であった。ただし、今後は回収したウイルスの測定法との統合を図り、完成度の高い環境調査法を確立する必要がある。水を原因とする病原微生物のリスクを算定するために、調査対象地域としては、生水を飲まない中国などの地域を含めることが必要であるが、そのような地域における感染経路を対象とした環境調査手法が整備された。
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