2005 Fiscal Year Annual Research Report
人体の体温調節反応における個体差の定量化に関する基礎的検討
Project/Area Number |
17686050
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 暁 神戸大学, 工学部, 助教授 (20301244)
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Keywords | 体温調節 / 個体差 / モデル化 / 生理学 / 建築環境・設備 / 非定常 / 同定 / 被験者実験 |
Research Abstract |
屋外から室内に移動するなど環境条件の変動を念頭に置き、生活空間における体温調節反応に関して、「個体差」を定量的に表現し、その分類を行うことを目的として、非定常過程での被験者実験とそれに対応した人体熱モデルの同定を行った。Two-node modelのパラメーター群(皮膚温と深部温のセットポイント値、血流・発汗の制御式の係数値)を、被験者実験一つにつき一組同定するアルゴリズムを開発し、パラメーター群により個体差を表現し、その性状について検討を行った。 (1)被験者実験 室の温湿度条件がステップ変動するある条件に複数の被験者を複数回曝露し、深部温、皮膚温、心拍数、体重などの温熱性生理量の変動を測定した。恒温恒湿室を用いて、複数の被験者間での条件の差を可能な限り小さくするとともに、気温・湿度・風速・熱放射の分布を測定し、条件の差が十分に小さいことを確認した。被験者実験より、深部温・皮膚温のレベルおよび変動傾向が、被験者間で異なるという結果が得られた。また、同一被験者を同一条件に曝露しても、異なる結果が得られた。 (2)アルゴリズム開発と個体差の表現 生理量の実験値とそれに対応した人体熱モデルの解析値の差を最小化するパラメーター群(人体熱モデルで用いられる係数値群)を同定するアルゴリズムを開発した。各パラメーターの変域を定めて、各パラメーターの組み合わせのうち、皮膚温と深部温の実験値を最もよく再現するものを選択した。選ばれたパラメーター群による計算結果は、各実験結果とよく一致していた。また、このアルゴリズムを用いて、実験ごとにパラメーター群を決定し、個体差の表現のプロトタイプを示した。
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