2006 Fiscal Year Annual Research Report
強相関相転移現象の表面化学と電界効果化学反応デバイスの開発
Project/Area Number |
17686056
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 祐司 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (60302981)
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Keywords | レーザー分子線エピタキシー / 強相関 / 相転移 / 電界効果 / 化学反応 |
Research Abstract |
本研究提案では、基礎と応用の観点から以下の2つを主な目的とする。 (1)強相関電子系に特有な電子状態の劇的な相転移現象の表面に与える影響を触媒反応のような化学的なアプローチで、STMを用いて原子レベルでこれを検証する。 (2)強相関電子系に特有の劇的な相転移現象を電界で制御し、その効果を最大限にチューニングすることで、表面での吸着や化学反応と組み合わせた超高感度化学センサーの原理証明を行う。 【研究成果1】超高真空温度可変高分解能STM-PLDシステムの開発 本年度は、前年度に設計・開発した超高真空温度可変高分解能STM装置にレーザー加熱型のPLD装置、および表面の周期構造と組成を調べることができるLEED/AES装置を複合化した。PLD装置では、表面分析装置との複合化を考え、できるだけコンパクトになるよう設計した。その特徴は、レーザー加熱機構のフランジをICF114にまで小型化し、真空槽の径を小さく出来たこと。また、従来、小型化の妨げとなっていたステッピングモータによるターゲットの自転・公転機構を、今回新たにピエゾ駆動にし、チャンバーの外側の張り出しを最小限にしたこと。LEED/AES分析装置については、後で述べるように、順調に立ち上がり、データも出始めている。PLD装置については、H19年度に立ち上げ、強相関酸化物薄膜の作製とin situ STM観察を試みる予定である。 【研究成果2】in situ LEED/AES解析よる吸着ペンタセンと光分解反応 SrTiO3(001)面上のペンタセン有機薄膜の成長と光分解過程をLEED/AESによってin situ測定を行った。薄膜成長時と光分解時では、島状ペンタセンの被覆率が同じであっても、AESでのTi/C比が異なることがわかった。これは、薄膜成長時には、島状以外にも基板表面に吸着しているペンタセンが存在していることを示しており、光分解過程では、それらが優先的に分解除去されているため、と考えられる。
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