2006 Fiscal Year Annual Research Report
固溶限界ドーピングによる高温対応圧電結晶の合成とその燃焼圧センサー素子への展開
Project/Area Number |
17686058
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
武田 博明 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00324971)
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Keywords | 固溶限界 / ドーピング / 燃焼圧センサー / 圧電結晶 / ランガサイト / 材料定数 |
Research Abstract |
本研究はエンジンのシリンダ内の燃焼圧力を直接検出する燃焼圧センサー材料の創成を目指し、ランガサイト(La_3Ga_5SiO_<14>:以下、LGS)型圧電結晶に着目している。本年度はAlを固溶限界ドーピングしたLNG(La_3Nb_0.5Ga_<5.5-x>Al_xO_<14>:以下、LNGAx)結晶を作製し、Al置換による結晶の高抵抗化、ならびに材料定数への効果を評価した。まず固相反応法によりLNGAx粉末結晶を作製し、LNGへのAl固溶限界量を明らかにした。その結果、x=1.5以下の組成でLGS型単相が得られることがわかった。この結果を踏まえ、チョクラルスキー法により炉0.0,0.2,0.4,0.5,1.0のLNGAx結晶の作製を試み、LNGA0.2までの組成において、バブル、インクルージョン等のマクロ欠陥のない良好な結晶の作製に成功した。作製した結晶の密度および格子定数はAl置換量増加に伴い減少した。これは、Alの原子量およびイオン半径がGaと比べ小さいためであり、Alが結晶格子内に置換されていることがわかった。。圧電定数はd_<11>、-d_<14>ともに増大し、相対的なAサイトイオンの占有率の増大がこの圧電定数の増大をもたらしたと考えられる。比誘電率はε_<11>^T/ε_0、ε_<33>^T/ε_0ともに減少し、格子定数の減少によって電気変位が減少したためと考えられる。LNGA0.2の材料定数についてAl置換LGS、LTGとの比較を行った結果、ランガサイト結晶へのAl置換は、結晶の弾性成分の異方性を増大させ、誘電率を減少させる効果があることを明らかにした。また、Al置換により圧電定数が増加していることから、結晶の圧電特性の上昇に有効であることが分かった。これら2結晶の圧電定数一温度特性を測定し、Al置換がLNGの圧電定数-温度特性を安定化させることが分かり、燃焼圧センサー材料として有望である。また、LNGの高温における圧電特性の挙動は構造が類似したLTGに近いことがわかった。抵抗率-温度特性の測定では、As-grownのLNGA0.2の抵抗率がLNGと比べ同温度において1.5〜10倍程度の抵抗率を有していることが分かり、LNGへのAl置換が、他のLGS型結晶と同様に抵抗率の上昇に有効であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)