2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサイズ力学特性評価法の確立と鉛フリーはんだ材の物性解析
Project/Area Number |
17686060
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
苅谷 義治 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主任研究員 (60354130)
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Keywords | マイクロ力学試験 / 疲労 / ミニチュア試験 / 鉛フリーはんだ / Sn / クリープ |
Research Abstract |
今年度は,微小はんだ試験片(ゲージ長2mm,直径0.5mmのドックボーンタイプ)を凝固で作成する方法を確立し,その試験片を低サイクル疲労試験するナノ疲労試験機を試作した.はんだは,代表的なSn-3.0mass%Ag-0.5mass%Cu,Pb-63mass%SnおよびBi-42mass%Snを用いた.試験機は,ピエゾステージを用い,フィードバック制御によるナノオーダーの制御および計測精度の優れた性能を有する.疲労試験は1×10^<-2>/secの対称三角波を用いて温度298Kおよび398Kで行った. Sn-3.0Ag-0.5Cuの組織は,Snデンドライトの周囲をAg3SnおよびCu6Sn5とSnの共晶組織が取り囲むような組織が観察される.また,ほぼ同一の方位を持つデンドライトが共晶組織を介して結合し,マクロ的には大きな結晶粒を形成する.この結晶粒は,試験片内に数個しか存在しない特殊な状態である.他方,Sn-37Pb合金の組織は,数ミクロン程度の微細なSn固溶体とPb固溶体より構成され,試験片内にこれらの共晶コロニーが数多く存在する.Sn-57Biの組織は,Sn-Pb同様Sn固溶体とBiの2相の微細混合組織であるが,Snがデンドライト状であるのと,Sn相に過飽和に固溶したBiが析出している違いが認められた. 微小材の疲労寿命は,大型材同様にManson-Coffin則に従う.Sn-3.0Ag-0.5Cuにおいては,温度上昇に伴い,寿命は最大で1/5程度低下する.これは,き裂進展が粒内から粒界へ変化することに起因する.しかし,Pb-63SnおよびBi-42Snにおいては,高温側の寿命が室温より10倍程度長い.このように寿命が向上する条件においては,粒界すべりを示唆する応力指数が得られ,大きな破断伸びが得られた.この伸びの増加と低サイクル疲労寿命の増加が対応することが明らかとなった.
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