2005 Fiscal Year Annual Research Report
次世代低温・超高速エピタキシーを可能とするナノクラスター制御メゾプラズマ技術開発
Project/Area Number |
17686062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神原 淳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80359661)
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Keywords | エピタキシー / メゾプラズマCVD / X線散乱その場計測 / ナノクラスター / ヘテロエピタキシー / プラズマエッチング |
Research Abstract |
数Torr前後の中間的圧力でのメゾプラズマCVD-における「ナノクラスターの合成・その場計測技術」並びに「超高速・低温エピタキシャル成長技術」の確立を主たる目的として研究を進めた。特に本年度は、エピタキシャル薄膜の温度並びに堆積速度の領域を体系的に調査し、その電気物性を明らかにすると共に、低温・高速ヘテロエピタキシー技術応用を狙い、異種基材(サファイア基板)上へのシリコン薄膜堆積も試みた。その結果、メゾプラズマCVDにより450℃〜800℃の広い基板温度範囲に於いて、30nm/sec以上の高速度でシリコンホモエピタキシャル成長を実現した。HRTEMによる薄膜/基板界面観察より、積層欠陥、双晶が極めて少ない良好な構造であることを確認し、これら薄膜の電気物性が低基板温度、並びに高速成長速度を実現する場合においても、ほぼ一定の300cm^2/V-s近いホール移動度を達成した。一方、良好な光・電気物性を示す薄膜を実現するためにはサファイア基板表面にユニットセルサイズの均一な直線的ステップを作り出す必要があるが、通常1400℃以上の高温度熱処理を必要としていたのに対して、メゾプラズマ照射により500℃程度の低温度でも基板表面全面に形成されることを明らかにした。HRTEM並びにEELSによる薄膜/基板界面の観察では、広範囲に欠陥を含まずSi-Oのモノレイヤー界面を呈する原子レベルで平滑なヘテロ界面構造に制御されることが確認された。これらヘテロエピタキシャル薄膜は、高速度・低温堆積にも拘わらず700s程度のロッキングカーブ半価幅の結晶性を有し、150cm^2/V-sの比較的高いホール移動度を達成した。一方、本メゾプラズマプロセスにおいて重要な役割を果たすと考えられるナノクラスター形成過程のその場計測技術として、位置敏感型比例計数管検出器、X線ビーム発生源を正確に配置し、小角散乱計測を可能とするシステムをプラズマCVD反応装置に組み立てた。Niフィルタ、スリット、ビームストッパの最適化、種々堆積条件に於おける堆積部以外からの迷光を完全除去等、予備計測を進め、粒子散乱に関わるX線の高強度且つ高精度検出を実現する条件を明らかにした。
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