2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁気ビーズを利用した膜活性ペプチドの二次構造網羅的解析技術の開発
Project/Area Number |
17686073
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 剛 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 講師 (20345333)
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Keywords | 磁性細菌粒子 / ランダムペプチドライブラリー / 膜結合ペプチド / 抗菌活性 / 溶菌活性 |
Research Abstract |
本研究では、3年間の申請期間内に、5残基〜20残基までのペプチドライブラリーから各種脂質膜との相互作用が認められるペプチドを網羅的にスクリーニングし、膜への特異性データを中心に、配列、疎水性度、電荷、水溶液/膜中での二次構造を決定したデータベースを構築する。これらのデータベースを基に、得られた新規ペプチドの真正細菌膜、真菌・真核細胞膜、及び核膜に対する生物活性を評価し、新薬剤・核内物質輸送キャリアへ応用する。本年度は、磁性細菌由来の膜融合型磁気ビーズを担体として用い、12残基のペプチドがディスプレイされたファージライブラリーからのペプチドの選抜を行い、その方法論の有効性を実証した。 パニングを重ねることで塩基性ペプチドの獲得割合が増加し、塩基性且つ親水性の6つの重複配列が得られた。得られたペプチド配列を用いて抗菌活性を評価した結果、B.subtilisに関し100μMで反応時間に伴うコロニー数の減少が見られたが、E.coli及びS.cerevisiaeに対し抗菌活性は得られなかった。また、溶血活性を評価した結果、8時間反応後においてもほとんど見られなかった。一方、改変ペプチドの抗菌活性を評価した結果、ペプチドの疎水性度増加に伴う抗菌活性の増加が見られ、B.subtilisに関し0.1,1μMにおいて1時間の反応でコロニー数が顕著に減少し、またE.coli及びS.cerevisiaeに関し100μMにおいて経時的に抗菌活性を示した。また、溶血活性を評価した結果、4時間の反応ではほとんど示さず、天然の抗菌ペプチドと同等の低溶血活性であることが示された。以上のことから、ファージディスプレイペプチドライブラリーからのスクリーニングにより細菌内膜結合ペプチドが獲得でき、疎水性度を高めることで高い抗菌活性を得られることから、抗菌ペプチドを簡便に獲得する手段の1つとして有効であることが示された。
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