2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁気ビーズを利用した膜活性ペプチドの二次構造網羅的解析技術の開発
Project/Area Number |
17686073
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 剛 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 講師 (20345333)
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Keywords | 磁気微粒子 / ランダムペプチドライブラリー / 膜結合ペプチド / 抗菌活性 / 二次構造予測 |
Research Abstract |
本研究では、3年間の申請期間内に5残基〜20残基までのペプチドライブラリーから各種脂質膜との相互作用が認められるペプチドを網羅的にスクリーニングし、膜への特異性データを中心に、配列、疎水性度、電荷、水溶液/膜中での二次構造を決定したデータベースを構築する。これらのデータベースを基に、得られた新規ペプチドの真正細菌膜、真菌・真核細胞膜、及び核膜に対する生物活性を評価し、新薬剤・核内物質輸送キャリアへ応用する。昨年度までに磁性細菌由来の膜融合型磁気ビーズを担体として用い、12残基のペプチドがディスプレイされたファージライブラリーからのペプチドの選抜を行い、塩基性且つ親水性の6つの重複配列が得られている。また、これらのペプチドの生理活性として、大腸菌、枯草菌、真菌(酵母)に対して抗菌性を示すことを明かとした。本年度はこれらのペプチドを基に配列中のアミノ酸の置換を行うことで抗菌活性を示すのに必須アミノ酸配列の決定を行い、二次構造と抗菌性との関連性を調査した。さらにSPR(表面プラズモン共鳴:本年度購入)解析による脂質膜との相互作用解析を行った。 ペプチドの抗菌活性は、酸性アミノ酸を疎水性アミノ酸へ置換する、あるいは疎水性アミノ酸であるアラニン、イソロイシンをバリン、フェニルアラニン、トリプトファンに置換することで上昇することが示唆された。これはフェニルアラニンやトリプトファンの膜表面付近での安定性に起因するものであることが考えられた。また、12残基のN末端、あるいはC末端に比較的局在性を示した塩基性アミノ酸、アルギニン、リジンが抗菌活性に必須のアミノ酸配列であることが示唆された。また、アミノ酸置換を行う前後でのペプチドの二次構造予測を行った結果、いずれにおいてもランダムコィル構造をとることが予想された。これまで報告されている抗菌性ペプチドが少なくとも膜内においてα-ヘリックスやβ-シート構造をとることが一般的に知られていることから、新たな抗菌の作用機序が存在することが示唆された。さらに最も膜に対して結合性の高いペプチドを用いて、各種リン脂質を固定化した金基板との相互作用をSPRにより解析した。その結果、ペプチドのスクリーニングの際に用いたボスファチジルエタノールアミンとの相互作用が最も高く、リン脂質頭部の性状により結合性が異なることが示唆された。
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