2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁気ビーズを利用した膜活性ペプチドの二次構造網羅的解析技術の開発
Project/Area Number |
17686073
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 剛 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (20345333)
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Keywords | 磁気ビーズ / ランダムペプチドライブラリー / 抗菌活性 / 両親媒性 / 脱離ペプチド |
Research Abstract |
5残基〜20残までのペプチドライブリーから各種質膜との相互作用が認められるペプチドを網羅的にスクリーニングし、配列、疎水性度、電荷、水溶液/膜中での二次構造を決定したデータベースを構築した。これらを基にH17年度にはペプチドの真正細菌膜、真菌・真核細胞膜、及び核膜に対する生物活性を評価し、大腸菌、枯草菌、真菌(酵母)に対して抗菌活性を示すことを明かとした。さらに、H18年度においてホスファチジルエタノールアミン(PE)で被覆した磁気ビーズを用いて取得した抗菌活性ペプチドについてはSPR解析によりルホスファチジルセリンやホスファチジルコリンと比較してPEに対して選択的に結合することが示された。 抗菌活性ペプチドの作用機序は静電的な膜への結合と疎水相互作用に基づく細胞膜への挿入に由来することが考えられ、抗菌活性ペプチド・性状は塩基性且つ親水性の両親媒性を特徴としたものに限られていた。このようなペプチド性状の偏りはペプチドのスクリーニング条件によるバイアスによることが考えられた。そこでより網羅的な膜活性ペプチドの取得を目的として、膜への結合性だけではなく、膜からの脱離を特徴とするペプチドのスクリーニングを行った。中性pH、25℃において膜へ結合したペプチドに対して、加温(37℃)、アルカリ添加(弱アルカリ性)、またはグリセロール添加などの穏和な条件変化によって膜から脱離するペプチドの探索を行った。その結果、25℃においてはPEを主成分とするリン脂質二重膜に強固に結合しているが、37℃において効率的に膜から脱離する脱離ペプチドが見いだされた。これらの挙動は熱揺らぎに伴うペプチドの膜界面での構造変化に由来するものであると考えられた。膜への結合性と脱離能を併せ持つ脱離ペプチドを取得したことで、環境微生物の濃縮や検出への応用が考えられる。具体的にはペプチドを固相化した磁気ビーズで環境微生物を磁気濃縮するとともに、加温(37℃)することにより、磁気ビーズ表面から微生物を効率的に脱離するが可能になると考えられ、環境中からの微生物濃縮及び検出が実現できると期待される。
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