2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ・ホール型電気推進システム:実用に直結する新要素技術の開発とその最適統合
Project/Area Number |
17686074
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
古川 剛 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 航空プログラムグループ・超音速機チーム, 宇宙航空プロジェクト研究員 (00375148)
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Keywords | 航空宇宙工学 / 宇宙推進工学 / プラズマ・核融合 / 流体力学 / 人工衛星 / 伝熱学 / シミュレーション / エネルギー工学 |
Research Abstract |
本年度は、高能力な日本発のマイクロ・ホール型電気推進システムの創製を目標に、(1)実用に直結する新要素技術の開発、(2)高効率な推進システムに纏め上げるための各新要素技術の最適統合、(3)各新要素技術/最適統合の基礎物理による裏付け、に関する研究を行った。具体的な検討項目は次の通りである。 (1)新要素技術の開発:推進機のマイクロ化を実現できる高エネルギー効率な冷却システムの開発/生成イオンの加速を効率良く推力に変換できる加速チャネルの設計/推進機の劣化やミッションに応じて最適磁場形状を与えるシステムの開発 (2)新要素技術の最適統合:安全かつ安定した作動条件下で、エネルギー効率(プラズマ生成/冷却システム/廃熱利用等を含む)を最大化する、各新要素技術の最適統合に関する解析 (3)基礎物理による裏付け:項目(1)の各新要素技術および項目(2)の最適統合に対する、基礎物理による理論的裏付け これらの各項目に対して、本年度は、研究代表者の異動に伴い、研究方針の変更を余儀なくされた(実験の遂行が不可能)にもかかわらず、次の成果を得た。 【新要素技術】【基礎物理】本研究が新たに提案する冷却システムを装備したホールスラスタシステムの有効性を解析した。推進機磁極付近に推進剤の特殊な循環経路を作製し、推進剤を加速チャネル内に流入する前に本経路を通過させ推進機を冷却/逆に、推進剤は加熱され、陽極孔でのチョーク現象により推進剤粒子の音速は増加される。このシステムは、新たに特別な機器を必要とせず、推進機のマイクロ化と性能向上を同時に見込める有効性を示した(学会発表、特許申請済)。また、推進機の外壁表面形状を工夫した冷却効果についての部分的検討を行い、これらシステムの有効性を示した(特許申請)。 【新要素技術】【基礎物理】推進性能を決定付ける重要要素の一つである加速チャネルに焦点を絞り、高推力/高比推力の発生を可能とする設計指針:優壁面ロスを抑える方向に生成イオンを加速する、加速チャネルの最適形状を探索し、形状と推力/比推力との相関を得た。二次電子放出係数の観点から、加速領域と電離領域に各々適する材質の壁面を選定した(学会発表、特許申請)。 更に進展させた解析研究を行い、信頼され得る推進機/システムとしてのパッケージングを検討し、マイクロ・ホール型電気推進システムの実現に対して、前年度迄に取得した有力な解析/実験データ、及び開発した新要素技術を基礎に、高パフォーマンスを目指した設計指針の提唱とその実現可能性を探った(論文投稿準備段階)。 以上の結果は、二つの国際学会"IAEA Technical Meeting on the Theory of Plasma Instabilities"と"International Review of Progress in Applied Computational Electromagnetics"にて発表、更に特許申請を完了した。加えて、進展させた内容を上位誌Nuclear Fusionに投稿すべく準備段階にある。
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Research Products
(5 results)