2007 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉液体増殖材料配管における多機能性セラミックコーティングの開発
Project/Area Number |
17686077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 晶大 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80332188)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 化学工学 / 物性実験 / 表面・界面物性 / セラミックス |
Research Abstract |
D-T核融合実用炉における液体リチウムブランケット概念を成立させるためには、MHD圧力損失の低減、配管に対する腐食低減、及び配管からのトリチウム透過漏洩速度の低減が重要な検討課題であり、これらを解決する有力な手段として多機能性セラミックスコーティングを配管構造材料表面に施す事が考えられている。本研究では、核融合炉液体リチウムブランケット配管被覆候補素材について、各種被覆作成手法にて、その多機能性を保持させたまま薄膜化する事を目標とした。本年度は、耐腐食性、高絶縁性、水素透過低減能保持の観点から、昨年度までに選定した酸化エルビウムに注目し、寿命評価の基礎研究としてその液体リチウム中でのわずかな腐食のメカニズム解明及び、各種パラメータを変更した際の重水素透過試験を実施した。液体リチウム中での酸化エルビウムのわずかな腐食は、酸化エルビウムの還元ではなく酸化によって生成するリチウムエルベートと考えられる物質を含む腐食生成物層が発生し、その腐食生成物の状態によっては、リチウムの流動による侵食が容易に起こるというメカニズムによるとわかった。水素透過防止能の測定は、透過の上流側に水素もしくは重水素を用い、わずかに透過してくる水素同位体を圧力変化等によって捉える方法にて、すでに昨年度試作した装置を用いて実験を行った。水素透過が大幅に上昇する大きな原因は膜のミクロな剥離であった。基盤酸化物が剥離の原因になること、微細構造を持つ中間層が生成させた場合には剥離が防止されることがわかった。常温では観測不可能なクラックに起因すると考えられる水素透過速度の上昇も発生した。剥離やクラックを抑えた場合、被覆内結晶粒界拡散律速を示唆する測定結果を得た。薄膜の水素透過防止能の基盤依存性はほとんどなく、熱膨張によるクラックや膜厚、また結晶性が水素透過防止能に大きく影響する事がわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Review of advances in development of vanadium alloys and MHD insulator coatings2007
Author(s)
T. Muroga, J. M. Chen, V. M. Chernov, K. Fukumoto, D. T. Hoelzer, R. J. Kurtz, T. Nagasaka, B. A. Pint, M. Satou, A. Suzuki, H. Watanabe
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Journal Title
Journal of Nuclear Materials 367-370
Pages: 780-787
Peer Reviewed