2006 Fiscal Year Annual Research Report
多チャンネル高速イオン温度測定装置の開発によるイオン系摂動輸送研究
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17686078
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
坂本 宜照 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (30354583)
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Keywords | 摂動輸送 / イオン温度 / プラズマ・核融合 / トカマク / 荷電交換分光計測 / 高速CCDカメラ / 運動量輸送 / プラズマ回転速度 |
Research Abstract |
本研究は,イオン温度分布を高時間・高空間分解で測定できる計測システムを新たに構築することによって,これまでほとんど研究の行われていないイオン系の摂動輸送研究を様々な閉じ込めモードに対して行ない,「イオン系輸送過程の基礎特性」および「イオン系輸送と電子系輸送の相互作用」等について明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続きイオン温度分布を高時間・高空間分解で測定できる荷電交換分光計測システムの構築およびデータ解析用ソフトウェア開発に重点を置いて研究を進めた。まず、昨年度に調整を行ったCCDカメラに組み合わせる分光器として、収差補正されたカメラ交換レンズを配置したレンズ分光器を導入した。このレンズ分光器は、F=2.8と高スループット特性を有しており、従来の分光器に比べて明るさを10倍程度改善できた。その結果、データの測定精度を劣化させることなく、従来の約20倍に相当する2.5msの時間分解能で、空間31チャンネルのイオン温度データを取得できるシステムを完成させた。本システムは、本研究目的を達成するために十分な性能を有している。 そして本システムを用いて、JT-60の内部輸送障壁をもつ負磁気シアプラズマの測定を行った。その結果、定常的に維持された強い内部輸送障壁において、イオン温度勾配が急激な上昇と減少を繰り返す遷移現象が起こっていることを初めて観測した。また、中性粒子ビームの入射をバランス入射からCO入射に切り換えることによってトロイダル回転分布に摂動を加え、強い内部輸送障壁を劣化させることによるコールドパルス伝搬のデータを取得し、輸送解析を進めた。さらに、高時間分解能測定により、内部輸送障壁形成が極めて急速な遷移現象(イオン温度上昇率1keV/10ms)であることを初めて明らかにした。
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