2005 Fiscal Year Annual Research Report
一つの粒子が引き起こす化学反応を用いたナノ構造体の形成と特性
Project/Area Number |
17686079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関 修平 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (30273709)
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Keywords | イオンビーム / 重粒子線 / イオントラック / 高分子架橋 / 共役高分子 / タンパク質 / ナノワイヤー / 超微細構造 |
Research Abstract |
個々の粒子が引き起こす化学反応は、特に粒子が侵入した道すじに沿った超微細空間(ナノ空間)内のみに限定される。高分子材料をターゲットとして用いた場合、高分子の橋架け(架橋)反応は、ナノ空間内に集中的に分布し、この部分の「高分子だけ」を巨大な分子に成長させる事によって、溶媒に不溶化させる。この小さな空間内だけで選択的に起こる架橋反応は、高分子ゲルの「ひも」を与え、本年度は共役高分子材料や蛋白質高分子をベースとするナノワイヤーを基板上に形成し、その原子間力顕微鏡(AFM)による直接観測に成功した。 形成されたナノワイヤーは次のような特色を示す事が明らかとなった。 1)ナノワイヤーの長さは、ターゲットとなる薄膜の厚みを正確に反映する 2)ナノワイヤーの太さは入射する粒子の性質及びターゲットの分子サイズにより一意に決まると同時に、これらのパラメータにより制御可能 3)ナノワイヤーの一端は基板上に化学結合によって固定され、その基板上の数密度が入射したイオン数を正確に反映する 即ち、本研究で用いた単一粒子による超微細構造体形成法によって、ナノワイヤーの3次元構造(長さ・太さ)を同時に、均一に、かつ自由に制御可能である事が示された。 一方で、本年度は形成されたナノワイヤーについて、次の点に主眼をおいて研究展開を行った。 1)ケイ素含有型高分子をベースとするナノワイヤーに対し、高温転化反応を応用することによりその内部構造を有機高分子組織体から超耐熱性炭化ケイ素ナノワイヤーへと転化し、高い安定性を実証した。 2)異なった組成を有する高分子多層膜構造に対し本手法を適用し、さまざまな特性を有する高分子のナノワイヤー連結体を形成した。これら連結体は、その部位の特性によって自己集合・凝集を起こし、特異な高次構造を示すことが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)