2006 Fiscal Year Annual Research Report
一つの粒子が引き起こす化学反応を用いたナノ構造体の形成と特性
Project/Area Number |
17686079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関 修平 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (30273709)
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Keywords | LET / イオンビーム / ポリシラン / ゲル / SiC / セラミック / ナノワイヤー / 自己凝集 |
Research Abstract |
本研究では、イオントラック内でのエネルギー付与分布と、反応機構を解明することを目的とし、照射時に薄膜中で形成される動径方向での活性種濃度分布をナノワイヤーとして原子間力顕微鏡で可視化し定量評価する方法を確立した。この方法を用いて、数種の高分子ナノワイヤーの断面半径を比較することにより、ナノワイヤーの境界領域におけるエネルギー付与密度と架橋のG値との間での相関関係を見出し、ナノワイヤー境界での架橋反応がその径を決定する主要因であることを明らかにした。また、ポリスチレンやポリシランなどの高分子を用いて線エネルギー付与率(LET)・分子量のナノワイヤー径に及ぼす影響を比較・検討することにより、その径を決定する理論モデルを提案した。さらに、ナノワイヤー表面の表面粗さと高分子の形状を比較することにより、ナノワイヤー表面近傍の高分子鎖の形状が、表面の粗さとして反映することを明らかにした。 一方で、デバイス応用などを行う際に重要となるナノワイヤーの空間的な位置を制御することを目的に、基板の表面処理を行うことによりナノワイヤーを選択的に脱着すること、及び、重イオンマイクロビームを用いて基板上に等間隔にナノワイヤーを形成することに成功した。 また、単一イオン照射によって形成されるナノワイヤーの基礎物性を評価することを目的とした。ポリシランナノワイヤーにおいては、その電流電圧特性を測定することにより、半導体特性を示すこと、ポリカルボシランナノワイヤーを高温焼成することにより、極めて高い耐熱性を有するSiCナノワイヤーへと転換することを明らかにした。また、・共役高分子において形成されたナノワイヤーの光学特性を測定することにより、ナノ構造化することによる発光特性が観測された。さらに、多層膜を用いることにより、それぞれの高分子セグメントから構成された多段式ナノワイヤーの形成に成功すると共に、3層膜においては、親水・疎水性を利用した溶媒中での選択的な自己凝集性を見出した。
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Research Products
(8 results)