2005 Fiscal Year Annual Research Report
SMC複合体によるDNA二重鎖切断に伴う染色体動態制御機構の解析
Project/Area Number |
17687001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菱田 卓 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (60335388)
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Keywords | DNA相同組換え / DNA修復 / 染色体動態制御 / タンパク質分解 / RecN / 大腸菌 |
Research Abstract |
大腸菌recN遺伝子は、SOS誘導を受ける遺伝子群の一つで、その破壊株は、相同組換え頻度の低下やガンマ線高感受性などを引き起こすことから二重鎖切断修復に関与していると考えられている。また、RecNは、SMC(structural maintenance of chromosomes;染色体構造維持)スーパーファミリーに特徴的な構造を保持していることから染色体の動態制御に関与していると考えられている。しかしながら、RecNがどのような因子と相互作用し、またその機能がどのように制御されているのかに関しては明らかになっていない。 本研究では、大腸菌RecNタンパク質と相互作用する因子の同定し、それらの機能を詳細に解析することで、DNA二重鎖切断修復における染色体動態制御の実態を明らかにすることを目標としている。本年度は、まず精製RecNタンパク質からanti-RecN抗体を作成し、in vivoにおけるRecNタンパク質の挙動に関して解析を行った。その結果、DNA損傷に依存して発現したRecNタンパク質は、分解速度が非常に速いタンパク質であり、その分解はATP依存プロテアーゼであるClpXP複合体により行われることを発見した。さらにRecNタンパク質の細胞内における挙動を調べるため、GFP-RecN融合タンパク質を用い、蛍光顕微鏡によりフォーカス形成の観療を行った。その結果、野生型株において、RecNタンパク質はDNA損傷に応答してフォーカスを形成、その後、DNA損傷を除去するとフォーカスは速やかに消失した。一方、clpX欠失株では、DNA損傷に応答しフォーカスを形成するが、そのフォーカスは消失せず、次の世代の細胞にまでRecNタンパク質が持ち込まれることが分かった。以上の結果より、RecNタンパク質は、その発現だけでなく分解も厳密に制御されており、DNA修復後に速やかに分解されることが正常な細胞生育に重要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)