2006 Fiscal Year Annual Research Report
複合体結晶構造解析で明らかにする高等植物に特有な光還元力分配システムの構造基盤
Project/Area Number |
17687008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 源嗣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (90294131)
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Keywords | X線結晶解析 / 光合成電子伝達 / 分子間相互作用 / フェレドキシン / 亜硫酸還元酵素 / 硫黄代謝 |
Research Abstract |
フェレドキシン(Fd)は光化学系I複合体から電子を受け取り、解離会合を繰り返しながら炭素、窒素、硫黄の各代謝系へ光還元力を分配する電子伝達タンパク質である。改変体を用いた相互作用解析から、電子を受け取る側のFd依存性酵素群は、各々Fdの異なったアミノ酸残基を認識していることが判っている。我々は、電子伝達複合体の形成が光還元力の分配機構と密接に係わっていると考えており、電子伝達複合体の構造研究を進めてきた。今回、Fdが係わる電子伝達複合体の2つ目の構造として、硫黄同化に働く亜硫酸還元酵素(SiR)とFdとの複合体結晶構造解析に成功した。FdとSiRは、静電的相互作用により複合体を形成することが判っていたので、主にPEGを沈殿剤として結晶化を行ったところ、斜方晶系、正方晶系と六方晶系の3種類の結晶が析出した。亜硫酸還元酵素(シロヘム、[4Fe-4S]クラスター)とFd([2Fe-2S]クラスター)に7つ含まれる鉄の異常分散効果を利用した多波長異常分散法により構造解析し、全ての結晶系で構造精密化した。 Fdの[2Fe-2S]クラスターからSiRの[4Fe-4S]クラスターまでの距離は12.7Å、SiRの[4Fe-4S]からシロヘムまでの距離は4.4Åであった。SiRの改変体を用いた相互作用解析から、複合体形成への寄与が指摘されていたSiRのR364,K365が複合体の界面に存在していた。また、これらの残基はNMR解析から指摘されていた相互作用領域であり、溶液状態での複合体形成が結晶中でも再現されていると考えられる。現在は、亜硝酸還元酵素への展開と部位特異的変異導入による相互作用部位の確認実験を行っている。
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[Journal Article] Atomic structure of plant glutamine synthetase : a key enzyme for plant productivity.2006
Author(s)
Unno, H., Uchida, T., Sugawara, H., Kurisu, G., Sugiyama, T., Yamaya, T., Sakakibara, H., Hase, T., Kusunoki, M.
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Journal Title
J.Biol.Chem. 281
Pages: 29287-29296
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