2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン複合体から迫るクロマチン形成と維持の分子機構
Project/Area Number |
17687016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田上 英明 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70273216)
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Keywords | ヒストン複合体 / クロマチン形成 / ヒストンシャペロン |
Research Abstract |
申請者はヒト培養細胞において世界で初めてクロマチン形成装置をヒストン複合体として精製することに成功した(Cell,2004)。17年度においては、クロマチン形成の分子基盤と、その戦略のバリエーションについて解析する目的で、酵母をモデル系としてヒストン複合体を精製し、以下の解析を行った。 出芽酵母、分裂酵母において、FLAG/HAエピトープタグを付加したヒストン遺伝子株を構築し、各種ヒストン複合体を精製することに成功した。驚いたことに、出芽酵母、分裂酵母、ヒトでヒストンH3/H4複合体の構成因子が異なることを見いだし、現在、これらの違いからクロマチン形成の共通の分子基盤と戦略のバリエーションについて、細胞周期制御やタンパク量制御に焦点を当てて機能解析を進めているところである。また、タンパク質総量としてはほとんど同じにもかかわらず、細胞抽出液から精製されるヒストンH2A-H2B量は、H3-H4に比較して10倍以上多いことが明らかとなった。さらに、出芽酵母H2A-H2B複合体にはヒストンシャペロンNap1以外にFACT(Spt16、Pob3)が含まれることが明らかとなった。EACTはもともとクロマチン転写伸長を促進する因子として同定されたが、最近ヒストンH2A-H2Bをヌクレオソームから除くことが示唆されている。抽出されるH2A-H2B量の多さとFACTとの結合は、出芽酵母における遺伝子発現量とヒストンダイナミクスの関連性を示唆するものと思われ、現在in vitro系の構築を含めて解析を進行中である。今後、新生ヒストンの核輸送や特異的クロマチン形成経路、およびそれらの制御機構までを含めたヒストンメタボリズムの全貌の理解にまで繋げたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] A Human T-Cell Lymphotropic Virus Type 1 Enhancer of Myc Transforming Potential Stabilizes Myc-TIP60 Transcriptional Interactions2005
Author(s)
Soumya Awasthi, Anima Sharma, Kasuen Wong, Junyu Zhang, Elizabeth F Mattock, Lowery Rogers, Pamela Motloch, Shigeki Takemoto, Hirokuni Taguchi, Michael D.Cole, Bernhard Luscher, Oliver Dittrich, Hideaki Tagami, Yoshihiro Nakatani, Monnie McGee, Anne-Mane Girard, Luke Gaughan, Craig N Robson, Raymond J.Monnat, Jr, Robert Harrod
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Journal Title
Molecular and Cellular Biology 25
Pages: 6178-6198
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