2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン複合体から迫るクロマチン形成と維持の分子機構
Project/Area Number |
17687016
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田上 英明 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 助教授 (70273216)
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Keywords | ヒストン複合体 / クロマチン制御 |
Research Abstract |
本研究はヒストン複合体解析を通してクロマチン形成やエピジェネティック情報維持の詳細な分子機構、さらにヒストンメタボリズムを含めたダイナミックなクロマチン制御の解明を目指すものであり、平成18年度は以下の点を中心に解析を進めた。 これまでに、出芽酵母、分裂酵母において、FLAG/HAエピトープタグを付加したヒストン遺伝子株を構築し、各種ヒストン複合体を精製することに成功し、出芽酵母、分裂酵母、ヒトでヒストンH3/H4複合体の構成因子が異なることを見いだしている。特に、分裂酵母ヒストンH3複合体の主要構成因子の1つとして同定したMlo2は大量発現により染色体分配異常を引き起こす機能不明のタンパク質であった。現在、Mlo2複合体の精製、解析を進めることで、ヒストンメタボリズム制御との関連性を明らかにする予定である。また、分裂酵母ではG2期が長いという特徴を持っており、細胞周期制御とヒストン複合体のダイナミクスとの関連性が示唆される。しかし現在までのところ、分裂酵母cdc10温度感受性変異株にタグを付加したピストンH3を導入し、同調培養条件でのピストン複合体精製を行ったが、顕著な違いは見られていない。今後、一過的な相互作用についても細胞固定によるヒストン複合体スナップショット系を確立する。 細胞周期制御やタンパク量制御に焦点を当てて機能解析を進めた結果、ピストン遺伝子の3'UTR領域の新たな機能を見出した。また、大量発現による複合体形成異常など複合体解析の技術的な問題点が明らかとなってきた。今後、それらの問題を解決するとともに、複合体構成因子を欠失させた時に各ヒストンの核内での挙動や複合体構成因子自身のダイナミクスについて免疫染色/GFP融合ヒストンによるイメージングおよびChIP法などの生化学的手法を組み合わせることによりさらに解析を進める予定である。
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Research Products
(3 results)