2005 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansにおけるカベオラを介したエンドサイトーシスの分子メカニズム
Project/Area Number |
17687018
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 健 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (30311343)
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Keywords | 線虫 / C.elegans / 分泌 |
Research Abstract |
本年度はまずカベオラを構成するタンパク質(カベオリン,GPIアンカータンパク質)に焦点をあて,緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質を発現する形質転換体の作成を行った。生殖腺特異的に発現を誘導するpie-1プロモーター下流に目的遺伝子を結合し,Microparticle Bombardment法により形質転換体の作成を行った。得られた形質転換体について卵母細胞の成熟過程,受精,そして胚発生の過程における各種オルガネラマーカータンパク質の挙動の解析を行ったところ,カベオリンが初期発生の段階で非常にダイナミックにふるまうことが明らかとなった。興味深いことにカベオリンは卵母細胞の成熟とともに新規の細胞内コンパートメント(CAV-1 bodyと命名)に蓄積することが明らかとなった。これらの構造体は受精直前に細胞膜近傍へと輸送され,受精と時を同じくして細胞膜と融合することが判明した。このことから,CAV-1 bodyは受精前後に劇的に変化する細胞膜へ物質を輸送する調節性分泌顆粒の一種であることが示唆された。一方,受精後に細胞膜にターゲットされたカベオリンは受精卵が細胞分裂を開始する前にすみやかに細胞内に取り込まれ,分解されることが判明した。この過程はエンドサイトーシスに働くクラスリン,Rab5などのRNAi干渉法による遺伝子ノックダウンによって阻害されることから,受精後のカベオリンの細胞内への取込みにはクラスリン依存的な経路が働くことが明らかとなった。現在,タンパク質小胞輸送に関わる低分子量GTPase, sar1,arf, rabのすべての線虫遺伝子に関してRNAiライブラリーを作成し,発生初期段階におけるカベオリンの動態に関与する遺伝子の分離を試みている。
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