2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞移動先端におけるアクチン細胞骨格制御機構の解明
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17687020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末次 志郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70345031)
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Keywords | アクチン / Arp2 / 3複合体 / WAVE / IRSp53 / 仮足形成 / ラメリポディア |
Research Abstract |
細胞の移動は、多細胞生物に見られる様々な細胞機能の理解に必須である。細胞の移動する先端でアクチン重合が起こり、糸状仮足(フィロポディア)や葉状仮足(ラメリポディア)といった構造を作る。WAVE2を欠損した細胞では顕著に葉状仮足形成が阻害されていたことから、WAVE2は葉状仮足形成に必要不可欠な分子であり、方向性を持った細胞運動全てに重要であることがわかっていた。しかし、WAVE2が、Arp2/3複合体に働きかけるか否かが、どのように制御されているか全く明らかでなかった。FLAG-WAVE2の安定発現はWAVE2ノックアウト細胞で見られる葉状仮足形成における欠陥を回復することができるので、この系は内在性WAVE2とおなじタンパク質複合体を形成していると考えられる。本年度の研究では、この系を用いて、WAVE2の複合体に含まれるタンパク質を質量分析を利用してさらに同定したところ、既知のWAVE2結合タンパク質のみが見いだされた。しかしながら、既知のWAVE2結合タンパク質のうちIRSp53のみが細胞膜画分でのみ、WAVE2と結合することを見いだした。葉状仮足形成は、細胞膜の近傍でおこるので、IRSp53が細胞膜近傍でWAVE2の活性を制御している可能性がある。また、IRSp53のN末ドメインが脂質結合能を持っていることを見いだした。in vitroアクチン重合系での再構成実験の結果、IRSp53は脂質二重膜の存在下でRacおよびPIP3依存的にWAVE2を活性化することを見いだした。また、細胞膜画分より精製したWAVE2は細胞質より精製したWAVE2よりIRSp53依存的に高い活性を持っていた。つまりRacがWAVE2を活性化する分子経路の一つを明らかにすることができたと考えられる。
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