Research Abstract |
■トマトの形質転換系の確立 トマトの形質転換,特に器官特異的な遺伝子の発現を行うモデルとして,果実特異的プロモータ(2A11)下で液胞型ATPase (V-ATPase)遺伝子をアンチセンス方向で形質転換体した.実験には果実を着けるモデル植物として注目されている,矮性品種"マイクロトム"を用いた.その結果,2A11プロモータにより果実特異的にV-ATPaseの発現が抑制され,果実の成長や種子形成が著しく阻害されることが示された.この果実特異的プロモータとマイクロトムの形質転換系を活用し,今後トマトにソルビトール合成・転流能力を付与する実験を進める. ■ソルビトール輸送体,ソルビトール代謝酵素の発現解析 ソルビトールの合成と代謝の鍵酵素(S6PDH, SDH),また転流の鍵となるソルビトール輸送体(SOT)の発現が果実や葉の成長過程,光処理,果肉由来の培養細胞に対するストレス処理に対してどのように応答するかを調べた.その結果,それらが様々な要因で調節されることが示されたが,特にSOTが光や概日リズムにより制御され,光合成活性と同調しているという興味深い可能性が示唆された.それを形質転換のツールとして活用するために,今後SOTのプロモータを解析することも検討している. ■形質転換用ベクターの作製 S6PDH, SDHおよびSOTをトマトやシロイヌナズナで発現させるためのプロモータの単離とベクターの構築を進めている.葉や師部に特異的なプロモータの単離に手こずったが,現在ベクターの構築を進めている.また,セイヨウナシでSOTを抑制するためのベクターはほぼ出来上がっており,来年度は出来上がったベクターを順次セイヨウナシ,トマトおよびシロイヌナズナに導入していく.
|