2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17688004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和崎 淳 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 学術研究員(特任助教授) (00374728)
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Keywords | リン欠乏 / ルーピン / 酸性ホスファターゼ / フィターゼ / リン鉱石資源 / フィチン酸 / 根圏微生物 / 分泌型タンパク質 |
Research Abstract |
植物の生育に必須な元素の一つであるリンは、資源枯渇の問題に直面しつつあるとともに、環境への負荷の問題も抱えている。土壌中に蓄積する有機態リンのうち最も高い割合を占めるフィチン酸を有効利用することにより、これらの問題の解決につながると考えられる。本研究は、ルーピンが示すフィチン酸利用能を解析し、これを応用することを目指している。 1)分泌性酸性ホスファターゼ遺伝子LASAP2のフィチン酸分解能の利用 ルーピン根由来分泌性酸性ホスファターゼをコードするLASAP2を過剰発現させたタバコにフィチン酸を唯一のリン酸供給源として与えて無菌系で栽培した。過剰発現株のフィチン酸施与区における生育は無機リン酸施与区と同等であった。過剰発現株のリン吸収量は、野生株と比較して約2倍であった。以上の結果より、LASAP2遺伝子の導入がフィチン酸利用能の向上に寄与することが示された。 2)フィターゼ活性を有する新規酸性ホスファターゼホモログLASAP3の機能の利用 フィチン酸に対して高い基質特異性を示すルーピン由来LASAP3の遺伝子発現をReal Time PCRを用いて解析した。LASAP3は全ての器官で発現し、リン欠乏条件と若い組織で比較的発現が強かったことから、主にリンの転流に関わっているものと推察された。イネを材料として分泌型タンパク質の解析を進め、分泌型タンパク質におけるシグナルペプチドにはVal, Leuが高い割合(25-75%)で含まれることを示した。 3)ルーピン根圏から単離したフィチン酸資化性細菌の利用 ルーピン根圏から単離したフィチン酸資化性細菌のフィチン酸供給能ならびに他の土壌微生物との相互作用を評価する系として、無菌Rhizoboxを開発した。無菌Rhizoboxを用いてルーピンを土耕栽培した結果、無菌条件下でもルーピンは高いリン吸収能力を示すことが示された。
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