2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17688007
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
多田 泰之 独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 研究員 (40397518)
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Keywords | 斜面崩壊 / 地下水 / 地下流水音 / 危険地判定 |
Research Abstract |
斜面崩壊が毎年多く発生するわが国では,危険な斜面を事前に知る必要がある。しかし,現状の技術では危険な斜面を精度よく予測できていない。危険地判定の精度向上に有力な手法を開発する必要がある。斜面崩壊の前兆現象や現地調査では湧水が多く確認される。危険地判定の精度向上には斜面土層中の水みち経路の特定が有効と考えられる。 本年は,3年計画の2年目に当たる。1年目に開発した地下流水音測定器を用いて自然斜面・林道法面の崩壊発生地で地下流水音を測定した。崩壊発生位置では周囲に比較して地下水流音が大きいことが調査した全ての斜面において確認された。また,崩壊の発生していない斜面でも崩壊地と同様の強い地下流水音分布が得られた斜面が複数確認された。これらの斜面が豪雨で崩壊するかを検討するため,台風後など大きな降雨イベントの度に調査した崩壊・林道法面を点検した。結果として,崩壊法面と同様の強い地下流水音分布が得られた林道法面で新たに崩壊が発生した。日常的に地下水の集中する場所に,豪雨で多量の地下水が供給されることが原因で崩壊が発生すると考えられた。また,本手法は事前に危険な斜面を抽出するのに有効であることが示された。 ところで,地下流水音探査は天候の良い日に実施するが,晴天時に大きな地下水流音が検知された場所が,豪雨時にも崩壊の発生するような地下水流が発生するのかは明らかでない。そこで,崩壊を有する斜面で水文観測を実施した。調査斜面で地下流水音探査を実施し,音圧分布を根拠に斜面の約100箇所に井戸を設けた。結果として,平常時に地下流水音の大きい場所では,豪雨時に地下水が発生しやすいことが明らかとなった。また,斜面では平常時に地下流水音が大きいところから崩壊に有害な飽和帯が拡大することが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)