2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい遷移金属触媒概念に基づいた有機イオウ化合物の不快臭低減合成
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17689001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有澤 美枝子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50302162)
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Keywords | ジスルフィド / S-S結合開裂 / 単結合メタセシス / 交換反応 / ロジウム触媒 / C-F結合活性化 / C-S結合生成 / ジホスフィン |
Research Abstract |
有機イオウ化合物の不快臭低減合成を行う目的で,ジスルフィドS-S結合開裂を伴う変換反応を広くスクリーニングし,交換反応・C-H置換反応・酸化還元反応などの種々の変換反応を見出した.本年度は,ロジウム触媒を用いるチオアルキンC-S結合切断再配列反応,α-チオケトンとジスルフィドとの交換反応,芳香族C-F結合活性化反応を検討した. 有機イオウ化合物のC-S結合が遷移金属錯体に酸化的付加することは知られているが,効率的な触媒反応に適用した例はほとんどない.また,単結合メタセシスは基本的反応であるが,その例も少ない.今回チオアルキンを取り上げた.二種のチオアルキンを反応させた場合,新たな二つのC-S結合を生成する反応(C-S/C-Sメタセシス)とC-C結合とS-S結合を生成する反応(C-C/S-Sメタセシス)が進行しうるはずである.同一のロジウム錯体を用い,適切な配位子を選択することにより二種のメタセシスを制御することに成功した. ロジウム触媒存在下,α-チオケトンとジスルフィドを作用させるとアルキルチオ基が交換したα-チオケトンが収率良く得られることを明らかにした.中間に生じると考えられるロジウムエノラートの反応性に興味が持たれる. C-H結合活性化の前段階として,水素原子に近いvan der Waals半径を有するフッ素原子に着目し,C-F結合を活性化してC-S結合に変換する反応を開発した.ロジウム触媒存在下,芳香族フッ化物とジスルフィドを反応させると,芳香族スルフィドを収率良く与える.種々のポリフルオロベンゼンとジスルフィドとの反応を行い,反応性と配向性について新たな知見が得られた. C-S結合生成反応の開発に加えて,C-P結合の触媒的生成法について検討した.1-アルキンにテトラフェニルジホスフィンを作用させると1-アルキニルホスフィンを与える.1-アルキンからアルキニルホスフィンを合成する反応は数多く知られているが,いずれも化学量論量の塩基を必要とする.本反応は触媒的にアルキンのC-H結合活性化,ジホスフィンのP-P結合切断,C-P結合生成が起こるものである.
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