2005 Fiscal Year Annual Research Report
単一不斉触媒による連続不斉中心構築法を基盤とする有用生物活性化合物の効率的合成
Project/Area Number |
17689002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大嶋 孝志 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (10313123)
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Keywords | 連続不斉中心構築 / 多段階連続反応 / 触媒的不斉反応 / Mannich型反応 / Michael反応 / Cylindricine C / Aldol反応 / エポキシ化反応 |
Research Abstract |
医薬品やその研究開発に必要な有用生物活性化合物を、大量にしかも地球環境に負荷をかけることなく実用的に供給する方法を開発することを目的とし、「単一不斉触媒による連続不斉中心構築法」の開発および「有用生物活性化合物の効率的合成」への展開の検討を行った。 (1)可逆なaldol反応と非可逆なTishchenko反応を組み合わせることで、エチルケトンのようにケトンのα-位にアルキル基を有する基質を用いる直接的aldol反応を可能とし、光学活性な2-アルキル-1,3-ジオール化合物をほぼ完壁なジアステレオ選択性と非常に高いエナンチオ選択性を持って合成することを可能とした。また、本反応に最適なランタノイド触媒が、ニトロアルドール反応にも優れた結果を示すことも見いだした(投稿準備中)。 (2)我々が先に開発した分子内に複数の反応点を有する新規不斉相間移動触媒反応のコンフォメーションおよび反応機構解析を行い、その結果を基に不斉相間移動触媒のさらなる最適化に成功し、Mannich型付加反応とMichael付加反応におけるエナンチオ選択性を大幅に向上させることに成功した。本触媒的不斉Michael付加反応によって、続く環化反応に必要な官能基をあらかじめ組み込んだα-アミノ酸誘導体を合成し、続く酸処理によって多段階の環化反応を高い立体選択性で進行させることに成功した。本連続反応の実現により、これまで10工程以上を必要としたCylindricine Cを約半分の工程で不斉合成することが可能となった(投稿準備中)。 (3)アルデヒドに対するアルキニル化反応を高いエナンチオ選択性で進行させる、新規不斉触媒In(III)-BINOL錯体の創成に成功した。 (4)これまで実現困難であった、α,β-不飽和エステルの触媒的不斉エポキシ化反応を、新規不斉配位子を創成することで達成した。エポキシ化反応に続くエポキシド開環反応の連続反応を現在検討中である。
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