2006 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の神経ネットワーク形成における、細胞内カルシウム放出チャネルの存在意義
Project/Area Number |
17689005
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
服部 光治 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (60272481)
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Keywords | 脳 / 発生 / 神経細胞 / チャネル / カルシウム |
Research Abstract |
細胞質おけるカルシウム濃度は百種類以上の蛋白質分子の活性制御機構に関与しており、その時間的・空間的制御は細胞機能に必須である。中でも、イノシトール1,4,5三リン酸受容体(IP_3受容体)は小胞体からのカルシウム放出を担う主要なチャネル蛋白質であり、様々な情報伝達系に関与している。哺乳類の神経ネットワーク形成において、このチャネル蛋白質の機能に依存した細胞の運動や形態制御が重要であると示唆する知見は数多いが、その寄与の程度はほとんどの場合不明である。そこで本研究では、三種類存在するIP_3受容体サブタイプ全てを、特定の神経細胞で欠損するマウスの作製を目指している。タイプ1IP_3受容体の欠損マウスは致死であるため、神経細胞種特異的にタイプ1IP_3受容体を欠損するマウスの作製を行った。今年度までに、タイプ1IP_3受容体の開始コドンを含むエクソン両端にloxP配列を挿入したマウスの作出に成功した。現在、大脳興奮性神経細胞にのみCreリコンビナーゼを発現するEmx-Creマウス(理化学研究所より入手済み)と交配を行っている。一方、タイプ3IP_3受容体ノックアウトマウスを用い、神経成長因子(NGF)依存的なDRGの軸索伸長に対してIP_3受容体からのカルシウム放出が負の制御を行うことを明らかにした。これは、従来の薬理学的手法を用いた結果と相反するものであり、その分子機構解明により軸索伸長における新たなモデルの提唱につながり得るものであると考えている。
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