2006 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外蛍光を利用するバイオイメージングプローブの創製と体内診断薬への展開
Project/Area Number |
17689006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 宏建 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (70345255)
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Keywords | 分子認識 / 生体分子 / 分析科学 / 薬学 / 有機化学 / 可視化 / 診断 / 蛍光 |
Research Abstract |
ヘムやメラニン、水などの生体構成物質による吸収が少ないため組織透過性が良く、かつ、生体の放つ自家蛍光がないためノイズの原因となるバックグラウンド蛍光が無視できる近赤外領域に着目し、生体成分のダイナミックな量変動をin vivoで非侵襲的に画像として捉えることができる機能性近赤外蛍光プローブの創製を目指して研究を進めた。 昨年度開発した亜鉛イオン(Zn^<2+>)プローブDIPCYはスルホン酸基が導入されており、親水性の高いプローブであったため、細胞内ヘプローブを負荷させるため、脂溶性が高まるよう、置換基をメチル基に変えたDIPCY-Mを開発した。そのプローブを細胞に負荷し、細胞内に流入したZn^<2+>を検出することに成功した。測定対象をプロトン濃度、すなわち、pH測定にも拡張し、5種類のpHプローブを合成し、様々なpHの緩衝液中での吸収・励起スペクトルを測定した。その結果、それぞれが異なるpK_aを有し、PK_aの前後で大きな励起波長の変化が確認できた。2波長で励起したときの蛍光レシオもpK_a前後で大きな変化を示し、これらがレシオ型近赤外pH蛍光プローブとして機能することが示された。 さらに、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を制御機構としたpHプローブも設計・合成した。トリカルボシアニンのメチン鎖にアミンを導入することでpH感受性とし、pH変化に伴うAcceptor側の光学特性の変化により、FRET効率が変動することを利用した。本プローブは、中性から塩基性条件下ではFRETが効率良く起こり、Acceptor由来の蛍光が大きいが、酸性条件下ではAcceptorの吸収極大が短波長側に大きくシフトするために重なり積分値が変化してFRET効率が低下し、Acceptor由来の蛍光は減少し、Donor由来の蛍光が増大したため、目的に合致したプローブであることが分かった。
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