2006 Fiscal Year Annual Research Report
疾患プロテオミクス情報に基づいた画期的創薬のための新規DDSの確立
Project/Area Number |
17689008
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
堤 康央 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤的研究部, プロジェクトリーダー (50263306)
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Keywords | ファージ表面提示法 / PTD / 薬物送達法 / 蛋白療法 / DDS / ペプチド / 細胞内ターゲティング / 細胞内治療 |
Research Abstract |
蛋白質の細胞内局在の変動を、健常時と病態時において比較評価し、疾患関連蛋白質を探索しようとするオルガネラ(細胞小器官)プロテオミクスが、現在、加速度的に進展しつつある。そのため、今後、細胞内の特定オルガネラに局在する蛋白質を有効な医薬品として開発しようとする試みが益々期待されるものと考えられる。ところが、生理活性蛋白質などの生体内高分子物質は、細胞外から細胞内への膜透過性が極端に悪く、そのままの状態で投与しても、細胞内に導入することが出来ないため、効果の発現は期待できない。従って細胞内の特定オルガネラに導入されて、初めて機能発現できる「転写因子やシャペロン蛋白質」などを薬物として使用した場合は、薬効を殆ど期待できないのが現状である。従って、このような蛋白質を有効な医薬品として開発するために必須の最重要基本戦略は、これら蛋白質を効率よく細胞膜から細胞内へ移行させ、標的オルガネラへデリバリーすることにある。平成17年度は、蛋白質等の薬物を、細胞外から細胞内へ効率よく導入可能なペプチド性キャリアを網羅的に探索するため、新規ファージペプチドライブラリを作製し、細胞外から細胞内へ効率よく移行する多くのペプチドを得た。平成18年度は、細胞内動態制御技術確立のための基礎情報集積を目的に、代表的な細胞内侵入ペプチド(Tat, Antp, Rev, VP22)について、それらの特性評価を行うとともに、細胞内オルガネラへのターゲティングを可能とする方法論を考案・評価した。その結果、その細胞内移行メカニズムにマクロピノサイトーシス経路が関与していること、これら細胞内侵入ペプチドとfusogenic peptide、およびオルガネラ移行シグナルを併用することで、薬物を細胞外から細胞内の特定オルガネラへと効率よく送達できることを明らかとした。
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