2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌関連遺伝子のエピジェネティックな不活化の分子病態解明
Project/Area Number |
17689025
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20381254)
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Keywords | 癌 / DNAメチル化 / 転写抑制 / プロモーター活性 |
Research Abstract |
癌におけるエピジェネティックな異常、特にDNAメチル化は近年盛んに研究されている分野である。その背景にあるメカニズムは依然不明であるが、ひとつの仮説として転写活性が高い遺伝子プロモーターはメチル化による不活化を受けにくいと考えられている。これを証明するため、本研究者は類似した機能をもつファミリー遺伝子間のメチル化頻度の違いを解析した。これまで本研究者は、Wnt阻害蛋白である分泌型Frizzled関連蛋白(SFRP)遺伝子ファミリーが大腸癌(Nat Genet,2004)・胃癌(Oncogene,2007)において高頻度にメチル化し、Wntシグナル活性化の一因であることを報告した。次いで本研究者は別のWnt阻害蛋白であるDICKKOPF(DKK)ファミリー遺伝子の大腸癌におけるメチル化異常を解析した。DKKファミリー遺伝子のうち、DKK1とDKK2はどちらもWnt阻害作用を持つとされている。本研究においても、DKK1とDKK2はどちらも大腸癌細胞に対して増殖抑制効果を示した。しかしながら今回、DKK1とDKK2の大腸癌細胞におけるメチル化頻度がそれぞれ約20%、約90%と大きく異なることが明らかになった。DKK1とDKK2のプロモーターにはいずれもCpGアイランドが存在する。興味深いことにDKK1プロモーターにはβ-catenin/TCF結合配列が存在し、DKK1はWntシグナルのネガティブフィードバックとして働く。ルシフェラーゼアッセイによるプロモーター解析からも、DKK1プロモーター活性がWntシグナル活性と相関することが確認されたが、DKK2プロモーターはWntシグナルに影響をうけなかった。以上の結果から、DKK1は腫瘍抑制遺伝子としての機能を有するが、遺伝子の転写はむしろWntシグナルの活性化により上昇するためメチル化を受けにくい可能性が示された(論文投稿中)。
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Research Products
(6 results)