2007 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性骨代謝制御の分子基盤-交感神経受容体及び摂食調節因子変異マウスによる検討-
Project/Area Number |
17689029
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
竹田 秀 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, COE拠点形成特任教員 (30376727)
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Keywords | 中枢性骨代謝 / レプチン / ニューロメジンU |
Research Abstract |
NMU欠損マウスは肥満に加えて、骨形成、骨量の増加を示し、NMU欠損マウスの生体内の骨芽細胞の増殖は野生型マウスの骨芽細胞の増殖よりも亢進していた。ところが、野生型とNMU欠損マウスからそれぞれ採取した骨芽細胞をディッシュで培養したところ、両者の増殖に差はなかった。また、骨芽細胞にはNMU受容体の発現が認められず、培養した骨芽細胞にNMUを添加しても増殖や分化に対する効果がなかったため、NMUは直接に骨芽細胞に作用するのではなく、他の組織あるいは細胞への作用を介して間接的に骨芽細胞の増殖を調節するものと考えられた。そこで、NMU欠損マウスの脳室内にNMUを投与したところ、NMU欠損マウスの骨形成および骨量が低下したことから、NMUは中枢神経系(視床下部)に作用して骨形成を調節することが明らかとなった。引き続いて、脳室内にレプチンを投与すると野生型マウスでは骨形成および、骨量は低下するが、NMU欠損マウスでは増加した。また、野生型マウスでみられる交感神経β刺激薬投与による骨量、骨形成の低下はNMU欠損マウスでは認められなかった。これらのことから、レプチン・交感神経による骨形成の調節にはNMUが必須であることが示された。NMU欠損マウスの骨芽細胞における交感神経β受容体の発現や機能は正常であり、また、レプチンは交感神経系を介して骨吸収を促進することも知られているが、NMU欠損マウスにおいてもレプチンによる骨吸収の促進に異常はなかった。これらのことからNMU欠損マウスではレプチンによる骨形成調節経路が選択的に障害されていると考えた。レプチン、交感神経系は細胞の概日リズムを形成する分子時計の発現を調節することで骨芽細胞の増殖を調節するが、たしかにNMU欠損マウスの骨では分子時計の発現に異常が認められ、その結果として骨量が増加しているものと考えられた。
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