2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17689034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
里 直行 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70372612)
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Keywords | アルツハイマー病 / 遺伝子治療 / 肝細胞増殖因子 / ベータ・アミロイド / 血管 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)は認知症の原因疾患として最も多く約半数を占める。また、ADモデルマウスでの脳血管異常、Aβの血管新生阻害作用が報告されている。そこで我々は、血管新生作用、神経細胞保護作用を持つ肝細胞増殖因子(HGF)に着目し、マウスにおけるAβ起因性認知機能障害に対する効果を検討した。マウスの側脳室にAβを投与する認知機能障害モデルを用いた。Aβ投与2週間後にhuman HGF cDNAを投与し超音波を照射する超音波遺伝子導入法で遺伝子導入を行った。遺伝子投与1週間後にY-maze test、Water finding taskの2種類の行動試験を施行し認知機能評価を行ったところ、HGF遺伝子導入群ではいずれの行動試験でも認知機能の改善を認めた。HGF遺伝子導入群では両側海馬歯状回の血管床の回復、酸化ストレスの減少が認められた。synaptophysin染色ではHGF遺伝子導入群でsynaptophysin陽性顆粒の増加を認めた。次にHGFとBDNF(Brain Derived Neurotrophic Factor)について比較検討を行った。BDNFはその多型がエピソード記憶に関与していると報告されている神経栄養因子である。HGF遺伝子導入群に比し、BDNF遺伝子導入群ではWater finding taskでは改善を認めたものの、Y-maze testでは有意な改善を認めなかった。さらに、BDNF遺伝子導入群のみならず、HGF遺伝子導入群においてもBDNFの蛋白、mRNAレベルでの発現上昇を認めた。HGF遺伝子導入は海馬歯状回の血管床の回復、BDNFの発現上昇、酸化ストレスの減少、シナプスの活性化によりマウスにおけるAβによる認知機能障害を改善することが示された。この結果から、アルツハイマー病に対してのHGF遺伝子治療、もしくはHGFを増加させる治療法の可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Involvement of gamma-secretase in postnatal angiogenesis.2007
Author(s)
Hayashi H, Nakagami H, Takami Y, Sato N, Saitoh Y, Nishikawa T, Mori M, Koriyama H, Tamai K, Morishita R, Kaneda Y.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Conunun. 363
Pages: 584-90
Peer Reviewed
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[Journal Article] Delayed Post-ischemic Treatment with Fluvastatin Improved Learning and Memory Deficit After Stroke in Rats.2007
Author(s)
Shimamura M, Sato N, Sata, M, Kurinami, H, Takeuchi, D, Wakayama, K, Hayashi, T, Iida, H, Morishita R.
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Journal Title
Peer Reviewed
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