2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患におけるNF-κBを介したT細胞活性化機構の解析
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17689049
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石丸 直澄 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (60314879)
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Keywords | NFLκB / T細胞 / 自己免疫疾患 / サイトカイン / 調節性T細胞 / 活性化 / ナイーブ / メモリー |
Research Abstract |
免疫調節の中心的役割を担っているT細胞はT細胞受容体(TCR)及び副刺激分子を介したシグナル伝達により活性化、増殖、細胞死が決定される。T細胞の活性化の中心となる分子であるNuclear Factor κB(NF-κB)のサブセットにはNF-κB1(p50/p105),NF-κB2(p52/p100),RelA, RelB, c-Relがありそれぞれのホモ及びヘテロダイマーが核内移行し、標的遺伝子のκB領域を介して転写調節が行われる。NF-κBの役割は炎症だけでなく発生、発癌など広い分野で多くの知見が見いだされているが、自己免疫とNF-κBの関係はよく知られていない。本研究の目的は末梢T細胞の活性化段階におけるNFκB各サブセットの機能的役割を明らかにし、自己免疫疾患の発症におけるNF-κBの役割を検討することである。平成17、18年度はNF-κB及び関連分子のノックアウト、ミュータントマウスを中心に末梢CD4陽性T細胞の活性化におけるNF-κBの動態を検討したところ、NF-κB1/RelAを介した古典的経路をNF-κB2/RelBを介した非古典的経路が調節していることが判明した。特に、p100(NF-κB2)がT細胞の細胞質にてNF-κB1/RelA複合体に直接結合することにより、NF-κB1/RelAの核内移行を抑制していることが明らかとなり、非古典的NF-κB経路に障害があるとナイーブT細胞はTCRを介した反応がより増強されることが示された。さらに、自己免疫疾患のモデルとしても知られているaly/alyマウスを用い、非古典的NF-κB経路の障害による自己免疫疾患の発症機序を詳細に検討した(Nat Immunol,7:763-772,2006)。また、関節リウマチのモデルマウスであるMRL/1prを用いRANKLシグナルからNF-κBを介し樹状細胞の過剰活性によるT紳胞の自己免疫反応への影響を明らかにした(Blood印刷中,2007)。今後、各種自己免疫疾患モデルを用い、ヒト自己免疫疾患患者の末梢血及び組織検体を用いたNF-κBと病態発症との関係を解析中である。
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Research Products
(6 results)