2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌のHIF-1α発現と抗癌剤・放射線に対する抵抗性に関する分子生物的検討
Project/Area Number |
17689052
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
笹部 衣里 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (40363288)
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Keywords | HIF-1α / 口腔癌 / 抗癌剤 / 放射線 / 抵抗性 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌細胞のHIF-1α発現と抗癌剤および放射線に対する感受性との関連について検討し、以下の結果を得た。 1)HIF-1αの発現と抗癌剤(5-FU、CDDP)およびγ線に対する感受性との間には負の相関が認められ、HIF-1α高発現株OSC-5および6は抗癌剤およびγ線に抵抗性であったのに対し、HIF-1α低発現株OSC-2および4はそれらに対する感受性が高く、より強くアポトーシスが誘導された。 2)OSC-2にHIF-1α発現ベクターを、OSC-5にHIF-1αに対するsiRNAを導入したところ、OSC-2の抗癌剤やγ線に対する感受性は減弱し、アポトーシス誘導は抑制されたのに対し、OSC-5の感受性は増強し、アポトーシス誘導は促進された。 3)HIF-1αの標的遺伝子産物であるP糖蛋白(Pg)、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)およびセルロプラスミン(Cp)は、OSC-2よりもOSC-5において強く発現されており、OSC-5における抗癌剤処理後の細胞内抗癌剤濃度および抗癌剤あるいはγ線処理後の細胞内活性酸素レベルいずれもOSC-2よりも低値であった。 4)HIF-1αに対するsiRNAを導入したOSC-5においては、Pg、HO-1およびCpの発現が減弱し、抗癌剤処理後の細胞内抗癌剤濃度および抗癌剤あるいはγ線処理後の細胞内活性酸素レベルいずれも非導入細胞に比べ上昇した。 以上のことより、HIF-1αはPgの発現を介して抗癌剤の細胞内濃度を低下させるとともに、HO-1およびCpの誘導を介して抗癌剤やγ線により誘導される活性酸素産生を低下させることにより口腔扁平上皮癌細胞の抗癌剤およびγ線に対する感受性を低下させることが示唆された。さらには、HIF-1αのノックダウンによりこれらの発現低下を介して抗癌剤およびγ線に対する感受性を増強させることが出来ることが明らかとなった。
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