2005 Fiscal Year Annual Research Report
入院中の末期がん患者の在宅療養・在宅死を実現するための継続看護支援に関する研究
Project/Area Number |
17689061
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
福井 小紀子 首都大学東京, 健康福祉学部, 准教授 (40336532)
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Keywords | 継続看護 / 末期がん / 在宅療養移行 / 看護支援 |
Research Abstract |
2年計画で行う本研究では、初年度である本年度は、入院中の末期がん患者の在宅療養移行を促進するための継続看護支援法を開発することを目的に、全国調査にて対象の在宅療養移行実現の関連要因を明らかにした。 調査対象を、末期がん患者を受け持つ機会をもつ病棟看護師とし、対象機関は全国の100床以上の病院から無作為抽出した265施設のうち看護部長より研究協力の承諾の得られた病院とした。調査方法は、調査票の郵送法とした。質問項目は、在宅療養移行の実現の状況および、1)病棟の体制、2)病棟看護師の属性および学習状況、3)受け持った末期がん患者の状況、4)家族の状況とした。倫理的配慮として、調査票にはプライバシーの保護を明記し、対象者の調査への参加は自由意思であることを明記した。分析は、在宅療養移行の実現と上記4分類の項目との関連をロジスティック回帰分析にて行った。 分析対象は53病院の看護師865人のうち有効回答の得られた441名とした。うち、入院中に在宅療養移行が実現したケース数は61人(13.8%)であった。患者の平均年齢は65.0±14.8歳、性別は男性51%であった。在宅療養移行の実現に有意に関連した要因として、1)病棟の末期がん患者の入院期間が短い、2)病棟内でインフォームドコンセントを徹底させる必要性を病棟全体が高く認識している、3)病棟看護師が継続看護に関する学習を専門の書籍や雑誌により常に行っている、4)患者が点滴をしていない、5)患者の呼吸苦がコントロールできている、6)家族が患者の在宅療養を希望している、7)副介護者がいるの7項目が挙げられた。本研究の結果から、今後は、末期がん患者の在宅療養移行を促進するために、上記で得られた項目を中心として、病院・病棟が看護スタッフの支援体制を整えるとともに、患者・家族の支援体制を整えていくことが重要であることが示唆された。
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