2005 Fiscal Year Annual Research Report
論理関数の複雑さの下限導出問題に対する極限組み合わせ論的アプローチ
Project/Area Number |
17700001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
天野 一幸 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助手 (30282031)
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Keywords | 論理回路 / 論理関数 / 複雑さ / 下界 / 線形計画法 / 二分決定グラフ |
Research Abstract |
本研究は計算機科学分野最大の未解決問題であるPvsNP問題の解決への手掛かりを得るため,各種計算モデルにおける論理関数の複雑さに対する有用な下界を導出しうる手法の開発を目指したものである.これに対して本年度得られた主な結果は以下のとおりである. 1.任意に与えられたしきい値関数から,最も距離の離れた論理関数を具体的に構成する手法を,極値組み合わせ論的議論を巧妙に用いることによって与えた.また,この際に,従来一般的であったKruskal-Katonaの定理を用いる手法に代えて,これを用いない独自の手法による証明を与えることに成功した. 2.ニューラルネットワークのモデルとして広く用いられる2層のしきい値素子回路における論理関数の複雑さの問題に対して,そのサイズの下界の導出を,線形計画問題に帰着する新たな手法を提案した.また,本手法を内積関数に対して実際に適用し,これによって得られた大規模な線形計画問題を計算機によって解くことを通じて,従来知られている最良の下界に匹敵する下界を導出することに成功した. 3.ハードウェアの検証等に広く用いられる決定二分グラフ(OBDD)を用いて,基本的演算である乗算を計算するために必要なサイズに対する,これまで知られるものより厳密な上界を与えた.また,計算機実験により,本研究によって与えた理論的上界がほぼ厳密なものであることを強く示唆する結果を得た. 以上の成果をMFCS, EuroCOMBといった欧州における国際会議や,SIAM Journal on Computing, Theoretical Computer Scienceなどといった国際学術誌を通じて発表した.
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Research Products
(6 results)