Research Abstract |
通信網・交通網,VLSIの配線,施設配置問題など現実社会において解決が求められる多くの問題が,グラフ・ネットワーク的構造を持つ組み合せ最適化問題として定式化される.グラフ理論における連結度の概念は,種々のネットワークの制御・設計において,耐故障性に関する基本的な評価尺度として用いられる.本研究では,特に連結度制約を持つネットワーク設計問題を中心に,それらを解く効率的なアルゴリズムを構築することを目的とする. 得られた主な研究成果は以下の通りである. 1.辺連結度増大問題の一般化問題の一つとして,無向グラフG=(V,E)と単調関数r:2^V→Z^+(Z^+は非負整数集合)が与えられたとき,最小本数の辺を加えることで各カットφ≠X⊂Vのサイズをr(X)以上に増大させる問題を定義した.この問題が節点領域辺連結度増大問題と同等であることを示し,また任意の集合X⊂Vについてr(X)≠1である場合,O(n^4(m+nlogn+q))時間で解けることを示した.ここで,n=|V|,m=|{{u,v}|(u,v)∈E}|,qは,X⊂Vからr(X)を得るための計算量を表わすとする. 2.無向グラフG=(V,E),関数c:V→R^+(R^+は非負実数集合),関数d:V→Z^+が与えられたとき,各節点v∈VとSの間にv以外の節点を共有しないパスがd(v)本以上存在し,Σ_<V∈>vc(v)が最小である節点集合Sを求める問題は,点連結度要求を持つ供給点配置問題と呼ばれる.これまで,d(v)=4である節点が存在する場合はNP困難であるのに対し,d∈{0,1,2,3}かつcが一様である場合なら多項式時間で解けることが知られていた.これに対し,d∈{0,1,2,3}ならcが一般の場合でも多項式時間で解けることを示した.
|