2005 Fiscal Year Annual Research Report
変換を用いた多種のデータ構造に対する汎用並列計算環境の実現に関する研究
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17700026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筧 一彦 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科・産学連携特任講師 (90345116)
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Keywords | parallel tree contraction / 括弧対応問題 / XML / 動的計画法問題 / 非循環有向グラフ / 並列スケルトン / 並列分散計算 |
Research Abstract |
本年度は,関連する研究の公表を行うのとともに,以下の2点について新たに研究を進めた. (1)リスト表現された木構造に対する並列計算アルゴリズムとその計算量評価 リストに次いで単純な依存関係を持つ木構造を対象として,リスト表現の下での並列計算アルゴリズムの設計とその計算量評価を行なった.対象とするのは木をひとつの値に縮約する計算で,これは他の並列計算を実現する上での大きな柱である.設計したアルゴリズムの骨子は,木構造を基本的にXMLのような括弧による表現とし,それを複数の計算機メモリに分散した上で括弧対応問題のアルゴリズムを改変したものを適用する,というものである.木構造を並列で効率良く縮約するtree contractionといわれるアルゴリズムが求める条件と同等のものが成り立つ場合,今回設計したアルゴリズムは並列でのコスト最適なものとなっていることを示し,実際に高速に動作することを実験により検証した.XMLが汎用データ表現として多用される現在,分散環境下で効率良く実行させる手法の意味は非常に大きい一方,海外を含む他のグループによる先行研究には分散メモリ環境での木構造並列計算でコスト最適となるものはまだ存在していない.この研究内容は国際会議に投稿し,目下査読中である. (2)動的計画法のリスト上並列計算での実現 木構造に次いで複雑な構造を持つものとして非循環有向グラフ(DAG)が考えられる.規則的なDAGの構造が動的計画法問題を解く際の基本となるため,動的計画法問題についてリスト上の並列計算スケルトンを用いたアルゴリズム設計を行なった.計算の依存の関係を解析することで,リスト上のスケルトンによる計算をループにより繰り返す計算に置き換えることが可能となる.分散メモリ環境を対象とした場合,先行研究と同等の並列計算量で計算が行なえることを示した.この内容は大会論文として公表した.
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Research Products
(5 results)