2005 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア開発組織におけるワークフローの効率改善のための方法論と支援システム
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17700027
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
服部 哲 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (30314529)
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Keywords | ソフトウェア開発組織 / ワークフロー / 数式処理システム / Risa / Asir / グレブナー基底 / 組織パターン |
Research Abstract |
平成17年度は、ソフトウェア開発組織におけるワークフローの効率改善のための支援システムの開発に関する成果を得た。 支援システムは、内部に数式処理システムを持たなければならない。多くの開発組織で支援システムが使われるためには、数式処理システムは市販のものではなく、フリーのものであることが望まれる。そこで、本年度、フリーの数式処理システムであるRisa/Asir上で、ワークフローの効率を計算するプログラムを作成した。これにより、支援システムは、Risa/Asirを内部に持つものとして開発すればよいこととなった。また、Risa/Asirが市販の数式処理システムより軽量な(メモリなどの消費が少ない)システムであることにより、大規模な開発組織におけるワークフローの効率の計算が可能となった。 Risa/Asirは「グレブナー基底」と呼ばれる数学理論に基づくシステムであり、Risa/Asirを使うためには、この理論を習得することが必須である。本年度は、まず、この理論の習得を行なった。Risa/Asirは市販の数式処理システムに比べ、「計算結果の有理式から分子、分母を取り出せない」などの機能的に劣る面がある。本年度に作成したプログラムは、機能的に劣る面をカバーするように工夫して作成したものである。 本研究でワークフローの効率改善の指針とする「Coplienの組織パターン」では、役割の数が十数個の組織をパターンの適用事例としている。組織における役割の数が十数個でも、Risa/Asirは軽量なシステムであるので、ワークフローの効率の計算が可能である。また、役割の数を2個から十数個まで変化させて、組織パターンの適用の効果を調べる実験を行なった。すると、役割の数が多いほど(組織の規模が大きいほど)、組織パターンの適用の効果が高くなることが分かった。
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