2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア開発組織におけるワークフローの効率改善のための方法論と支援システム
Project/Area Number |
17700027
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
服部 哲 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (30314529)
|
Keywords | ソフトウェア開発組織 / ワークフロー / 数式処理システム / Risa / Asir / グレブナー基底 |
Research Abstract |
前年度に,ソフトウェア開発組織におけるワークフローの効率改善のための支援システムの開発に関する成果を得た.すなわち,フリーの数式処理システムであるRisa/Asir上でワークフローの効率を計算するプログラムを作成した. 本年度は,そのプログラムがワークフローの効率の計算に関して正当性を持つことを証明し,その成果を下記の通り発表した. 服部哲:"オープンソース数式処理システムによる確率ペトリネットの定常状態解析",電子情報通信学会コンカレント工学研究会,電子情報通信学会技術研究報告,CST2006-41,pp.19-24,2007-01. 組織におけるワークフローの効率は,組織をモデル化した確率ペトリネットの定常状態解析によって計算する.定常状態解析では,連立方程式を解かねばならない.しかし,Risa/Asirは「方程式を解く」という機能は持たない.「グレブナー基底を求める」という機能によって,方程式の求解ができる.グレブナー基底は多項式の集合であり,各多項式の零点が連立方程式の解である.本研究で扱う完全グラフ・単一トークン型ペトリネットでは,定常状態解析における方程式が連立斉一次方程式になる.この下で簡約グレブナー基底の形を具体的に与えた.n元の連立方程式に対しては,「一次の項の係数が同一であるn個の一次式の集合」となる.このようなグレブナー基底の零点を求めることは完全に自動化できる.前年度に作成したプログラムは,グレブナー基底の生成とその簡約,そしてグレブナー基底の零点を求める一連の手続きを含む.本年度の成果は,組織の任意の状態に対して,プログラムによって自動的に効率の計算が可能なのを示したことである.なお,現在,先述の研究会原稿を基にした,論文雑誌への投稿原稿を準備中である.
|