Research Abstract |
オープンソースプロジェクトの下で開発されたオープンソースソフトウェア(open source software,以下OSSと略す)に対する信頼性評価手法を提案した. 各ソフトウェアコンポーネント(ソフトウェア部品)でのデバッグの状況やその良し悪しが,システム全体の信頼性に与える影響を考慮しようとする場合,プログラムパス,コンポーネントの規模,フォールト報告者のスキルなどの,様々に絡み合った要因を捉える必要があると考えられる.また,これらの要因に関するデータが全て収集されていると仮定しても,こうしたデータがソフトウェアの信頼性に関する情報を完全に網羅しているとは考えにくい.したがって,各コンポーネントがシステム全体の信頼性に与える影響を,収集されたデータのみによって推定することは困難であることが予想される.こうしたOSSにおいて,各コンポーネントがシステム全体の信頼性に与える影響を考慮するために,意思決定手法の1つであるAHP(Analytic Hierarchy Process)と既存のソフトウェア信頼度成長モデル(software reliability growth model,以下SRGMと略す)を融合した信頼性評価法を提案した.これは,開発者の主観を必要とすることから,開発者指向の信頼性評価法として有用であると考える. また,上記のOSSに対する信頼性評価法は,主に開発リーダの立場に立ったものであり,ユーザ側にとっては適用し難いという面があった.OSSが急速に普及し始めている現在,こうしたユーザ側の立場に立ったOSSの信頼性に関するなんらかの指標を提示することが重要であると思われる.本研究では,ユーザ指向のニューラルネットワークとSRGMを融合した信頼性評価法を提案した.これにより,開発者およびユーザのそれぞれの立場に立った信頼性評価が行うことが可能となる.
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