2005 Fiscal Year Annual Research Report
副作用を考慮した関数型問い合わせ言語の並列性に関する研究
Project/Area Number |
17700041
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
日高 宗一郎 国立情報学研究所, 情報基盤研究系, 助手 (70321578)
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Keywords | 問い合わせ処理 / 関数型言語 / 並列性 / 副作用 |
Research Abstract |
関数型の問い合わせ言語には、式の組み合わせの任意性、データの再構成の容易性という特徴があり、データを互いの立場に添ったビューで提供しあうような高次の情報ネットワークの構成要素としても注目されている。このような大規模な利用ではスケーラビリティの確保が重要である。こうした問い合わせ言語のひとつであるXQueryはW3Cに於て仕様策定中であるが、今後更新機能が組み込まれる予定となっている。更新作用のもたらす副作用は、計算の実行順序の入れ替えや並列実行による最適化が阻害されてしまうため、スケーラビリティの確保が困難になる。 本年度は、並列処理の阻害要因となりうる副作用について調査し、処理要素間の依存関係がどのように生じるかについて考察した。また、式の実行コストの定量化に向けたモデル化も行った。 部分式に副作用がある場合の部分式同士の関係は、問い合わせ言語を構成している構文要素により異なるが、データモデル中の再構成であるエレメント構築による副作用に関しては、変数束縛を経由してそのスコープ内に影響が及ぶが、そうでない部分式同士に関しては、副作用はないと考えても差し支えないことを簡単な議論で示した。 並列化自体が報いられるかどうかは式の実行コストにも大きく関与する。XQueryの主な構文要素について、式のコストをその部分式のコスト、サイズ、真と評価される確率で再帰的に記述することによりコストモデルを定義した。並列化効率の計算にあたって、このコストモデルは重要な役割を担うと考えられる。 データベース研究者との打ち合わせも定期的に行った。プログラミング言語一般の見地からは得難いデータ集約的な見地からの、副作用が意味する潜在的な問題点の指摘等貴重なコメントを得ることが出来た。 関連する国際会議への参加では、処理系開発者から、処理系における副作用の内部表現の方法についての示唆を得ることが出来た。同時に、上記コストモデルに関して、必ずしも現実の処理系での実行モデルに合致せず、コストモデルが実際とは異なる結論を導きかねないとの指摘も受けた。
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Research Products
(2 results)