2005 Fiscal Year Annual Research Report
コモンモード進行波の伝搬メカニズムに基づくシグナル/パワーインテグリティの実現
Project/Area Number |
17700056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久門 尚史 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80301240)
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Keywords | コモンモード / 進行波 / シグナルインテグリティ / パワーインテグリテイ / EMC設計 |
Research Abstract |
2導体系のコモンモードは、帰路線をもたないという特徴がある。このような帰路線をもたないコモンモードの伝播を明らかにするために、最も簡単な単一導体線路を用いてその発生伝播メカニズムを明らかにすることに取り組んだ。 考察対象としては端点をもつ半無限長完全導体の端点から電流源で電流を注入するモデルを考えた。この導体の中心軸上に電流が流れると仮定し、その周囲に作る電界を解析的に表現した。次に導体表面において電界が境界条件を満たすように電流を定める方程式を複素周波数領域で導出した。これは積分方程式となるため、離散化を行い数値的に解いた後、数値逆ラプラス変換を用いて時間領域における波形を求める方法を提案した。この方法の正当性は、FDTD法による結果との比較によって確認した。 提案方法は電流と電荷が原因となり電界を形成し、その電界を打ち消すためにさらに電流と電荷が誘導されるというモデルを表現している。FDTD法の場合は近接作用に基づくため因果関係も近傍との関係しか明らかにならないのに対し、提案手法の場合は原因となる電流及び電荷の作用により新たに電流と電荷が誘導されるという因果関係が明確になり、発生伝播メカニズムを明らかにすることができる。 実際にその因果関係を調べた結果、単一導体線路での伝播現象には電荷によるスカラーポテンシャルが大きく影響し、このスカラーポテンシャルによる電界が電流を押し出す形で電流伝播が発生していることが明らかになった。つまり、端点に注入された電流により電荷が蓄積し、その蓄積した電荷による電界が前方へ流れる電流を誘導し、単一導体線路上の電流伝播が発生する。また、伝播には蓄積電荷が必要なため、ステップ電流を注入しても伝播波形はなまった波形になることを明らかにした。 一方実験においては、1.5m程度の銅線を用いた実験によりこのコモンモードを確認した。
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