2006 Fiscal Year Annual Research Report
コモンモード進行波の伝搬メカニズムに基づくシグナル/パワーインテグリティの実現
Project/Area Number |
17700056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久門 尚史 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80301240)
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Keywords | コモンモード / 進行波 / シグナルインテグリティ / パワーインテグリティ / EMC設計 |
Research Abstract |
シグナル・パワーインテグリティを実現するための新しい解析手法としてコモンモード進行波の伝播に基づく方法を提案した。これまでの手法としてはMaxwell方程式に基づくフルウェイブ解析やPEEC法などの回路モデルに基づく解析などが上げられるが、提案手法は物理的なメカニズムに忠実で現象の因果関係がはっきりした方法と言える。 昨年度までは近軸近似を用いた方法に関して議論してきたが、導体の半径の影響をきっちりと考慮に入れることが難しいため、本年度は円筒状完全導体の表面に電流と電荷が分布するモデルを提案した。解析においては円筒状導体を切断し、各部分の表面に電流を配置し、つなぎ目に電荷を配置した。このようなモデルに対してラプラス変換を用いることにより効率的に過渡解析を行う手法を提案した。実際に導体の半径による依存性を解析した結果、導体分割を荒くしても近軸近似よりも安定した解析が行えることを確認した。また導体半径の影響としては、ステップ電流を印加したときの波形のなまりが半径の増加に伴い大きくなることが明らかになった。また、導体半径の異なる線路を連結させた場合に反射と透過が起こることが確認できた。 次に、二導体線路における伝播を単一導体を2本配置して解析することによって明らかにした。この場合、通常の差動モードは互いに誘導の影響により形成されることになる。また、導体半径の異なる線路をつないだ場合に、コモンモード(同相モード)が発生するメカニズムを誘導に基づいて明らかにした。 さらに、MPIライブラリを用いることによりFDTD法による並列シミュレーションを行ない、提案手法が十分な精度で解析できていることを確認した。また、提案手法の並列化を行い、ノード数を増やすことにより効率的に計算が実行できることを確認した。
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